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2026/6/22

在留資格「定住者」とは何か 〜永住者・配偶者との違いを整理する〜 

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

在留資格「定住者」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。日本に暮らす外国人の方の中には、この在留資格を持ちながらも、「永住者とどう違うのか」「自分は本当に定住者に該当するのか」とよくわからないまま過ごしているという方が少なくありません。

実は「定住者」は、就労に制限がなく職種を問わず自由に働けるという、非常に大きなメリットを持つ在留資格です。にもかかわらず、「永住者の配偶者等」や「日本人の配偶者等」といった他の身分系在留資格と混同されるケースが多く、インターネット上の情報も断片的なものが目立ちます。

このコラムでは、「定住者」という在留資格の基本的な位置づけから、誰が対象になるのか、就労や生活上はどんなことができるのか、そして「永住者」「日本人の配偶者等」とは具体的に何が違うのかを、できるだけわかりやすく整理します。

「定住者」の基本的な位置づけ

入管法上の分類

在留資格「定住者」は、出入国管理及び難民認定法(入管法)の別表第二に定められた在留資格のひとつです。同じ別表第二には「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」も並んでおり、これらはまとめて「身分・地位に基づく在留資格」と呼ばれています。

「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」のような就労系の在留資格は、従事できる業務の種類があらかじめ定められています。これに対して身分系の在留資格は、活動内容に制限がなく、日本人と同じように自由に仕事を選べるという点が最大の特徴です。

「特別な理由」という設計思想

「定住者」の法律上の定義は、「法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の期間を指定して居住を認める者」とされています。この「特別な理由」というのがポイントで、出身国・歴史的背景・家族関係・人道的事情など、さまざまな個別事情を踏まえて認められる在留資格なんです。永住者のように「長期在留・安定収入・素行」といった客観的な数値基準で測れるものとは、そもそもの設計思想が異なります。

誰が「定住者」になれるのか ――告示定住の類型と対象者

告示定住と告示外定住の2種類がある

定住者には大きく「告示定住」と「告示外定住」の2種類があります。告示定住は法務省告示(平成2年法務省告示第132号)によって対象者のパターンがあらかじめ定められており、現在1号・3号〜8号(2号は削除)の計7類型が存在します。告示外定住は、これらのいずれにも当てはまらないものの、個別事情から法務大臣が裁量的に許可するものです。

告示定住の7類型

告示1号 ― 第三国定住難民 一定の国に一時滞在していたことを起因とする難民が対象です。歴史的にはインドシナ難民(ベトナム・ラオス・カンボジア出身者)の受け入れに活用されてきた類型で、現在は第三国定住制度によるミャンマー難民なども含まれます。

告示3号・4号 ― 日系2世・3世 定住者の中で最も人数が多い類型です。日本人の子として出生した者の実子(日系3世)が3号、元日本人で国籍離脱前の実子の実子が4号に該当します。いずれも「素行善良」要件が課されており、犯罪歴や素行面での審査が行われます。ブラジル・ペルーなど南米出身の日系人の多くがこの類型で在留しています。

告示5号 ― 定住者等の配偶者 告示3号・4号の日系人や、日本人の配偶者等として在留する日本人の子として出生した者の配偶者などが対象です。日系2世・3世と結婚した配偶者がこの類型で定住者を取得するケースが典型例です。日系人本人と同様、素行善良要件が課されます。

告示6号 ― 定住者等の実子(連れ子・日系4世) 日本人・永住者・定住者の扶養を受ける未成年未婚の実子が対象で、イ〜ニの4つのサブ類型があります。いわゆる「連れ子定住」に活用されることが多く、養子縁組は不要ですが、親子関係の証明や世帯収入などが厳しく審査されます。また、6号ハは日系4世の受け入れ根拠となっており、日系人の子世代まで対象が広がっています。なお、令和4年4月1日の民法改正(成年年齢引き下げ)に伴い、「未成年」の基準が20歳未満から18歳未満に変更されています。

告示7号 ― 6歳未満の養子 日本人・永住者・定住者の扶養を受ける6歳未満の養子が対象です。国際養子縁組には養子の母国と日本双方の要件を満たす必要があり、手続きは複雑になります。

告示8号 ― 中国残留邦人とその家族 戦後に中国に残された日本人(いわゆる中国残留孤児・残留婦人)とその身分関係を有する者が対象です。子や孫、配偶者の婚姻前の子なども含まれます。歴史的経緯に配慮した人道的な類型です。

告示外定住 ― 個別・裁量的な許可

上記いずれの告示にも該当しないものの、個別の事情から法務大臣が裁量的に許可するケースです。主な類型として以下が挙げられます。

  • 難民認定者(条約難民として正式に認定された場合)

  • 日本人・永住者と離婚または死別後も在留を継続する者(離婚定住・死別定住)

  • 日本人の実子を日本国内で監護・養育する者

  • 補完的保護対象者に関連する特定の事情がある者

告示外定住は審査要領に基づく個別判断であり、申請時には具体的な事情の説明と十分な疎明資料が求められます。

就労・生活上のメリット ――「定住者」で何ができるか

職種・業種の制限がない

定住者の最大の特徴は、就労に一切制限がないことです。「技術・人文知識・国際業務」であれば専門的業務に限定され、「特定技能」であれば特定の産業分野に限られますが、定住者にはそのような縛りがありません。工場での製造ライン業務、飲食店でのホール業務、建設現場での作業、ITエンジニアとしての勤務など、どのような職種・業種でも就労が可能です。

転職・副業も自由

転職も自由です。在留資格の変更や就労資格証明書の取得といった手続きなしに、新しい職場で働き始めることができます。副業・アルバイトの掛け持ちも制限されません。雇用する企業側から見ても、在留資格の種類を気にせずに採用できる点はメリットといえます。

就労自由≠更新不要 この点は注意が必要

ただし、就労に制限がないことは「在留資格の更新が不要」を意味するわけではありません。定住者は永住者とは異なり在留期間が定められており、定期的な更新手続きが必要です。この点については次のセクションで整理します。

在留期間と更新の仕組み

付与される在留期間

定住者に付与される在留期間は、5年・3年・1年・6か月のいずれかで、個々の状況に応じて法務大臣が指定します。永住者は在留期間の制限がなく更新も不要ですが、定住者は在留期限が到来するたびに更新手続きを行う必要があります。

更新審査で見られるポイント

更新審査では、就労・就学・納税・社会保険といった日常の生活実態が重視されます。具体的には以下の点が確認されます。

  • 住民税・国民年金の納付状況

  • 健康保険への加入状況

  • 安定した収入があるかどうか

  • 素行・犯罪歴の有無

就労制限はないものの、無職が続いていたり、公的義務の履行に問題があったりすると、更新審査に影響が出る可能性があります。

「永住者」「日本人の配偶者等」との比較早見表

定住者・永住者・日本人の配偶者等はいずれも身分系の在留資格であり、就労制限がないという共通点があります。しかし在留管理の面では、以下のとおり重要な違いがあります。

比較項目

定住者

永住者

日本人の配偶者等

就労制限

なし

なし

なし

在留期間

5年・3年・1年・6か月

無期限

5年・3年・1年・6か月

更新手続き

必要(期限ごと)

不要(在留カード更新のみ)

必要(期限ごと)

在留の基礎

身分・人道的事情

長期在留・生活安定

日本人との婚姻関係

離婚・死別の影響

影響なし(告示外定住へ移行の場合あり)

影響なし

在留資格の見直しが必要

家族帯同

家族滞在として可能

家族滞在として可能

家族滞在として可能

永住申請への道

一定期間後に申請可能

―(すでに永住者)

婚姻継続中は要件短縮あり

この表からわかる重要なポイントが2つあります。まず、定住者と日本人の配偶者等は在留期間・更新の仕組みという点ではよく似ています。大きく異なるのは「在留の基礎」です。日本人の配偶者等は婚姻関係が根拠となっているため、離婚によって在留資格を失うリスクがありますが、定住者はそのような心配がありません。次に、定住者から永住者への移行は十分に現実的なルートです。安定した生活実績を積み重ねながら、将来の永住申請を視野に入れて在留管理を行うことが重要なんです。

まとめ

在留資格「定住者」は、就労に一切制限がなく、日本人と同様に幅広い職種で働くことができる身分系の在留資格です。対象者は法務省告示によって定められた7類型(1号・3号〜8号)と、個別事情による告示外定住に分かれており、日系人・第三国定住難民・中国残留邦人関係者など、日本と深い歴史的つながりを持つ方々が主な対象となっています。

永住者と比べると定期的な更新が必要である点、日本人の配偶者等と比べると婚姻関係に依存しない点がそれぞれの特徴です。自分がどの類型に該当するのか、更新にあたって何を準備すればよいのかといった点は、個々の事情によって異なります。


今回のコラムを読んで「自分はどの告示に該当するのだろう」「更新に向けて今から何を整えておくべきか」など、ご自身の状況と照らし合わせてみていただけたでしょうか。ご疑問やご感想がありましたら、ぜひお気軽にお問合せフォームからお聞かせください。皆さんからのご意見が、次回以降のコラムづくりの力になります。

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