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制度・動向

2026/9/10

申請書「日本語能力」欄の書き方 〜資格がない場合の対処法〜 

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

在留資格の申請書類には、日本語能力に関する記載欄が設けられている場合があります。日本語能力試験(JLPT)などの級を持っていない場合、何をどのように書けばよいか迷う方が多くいらっしゃいます。実は、日本語能力の評価は試験の合否だけで決まるものではなく、在留資格の種類によって位置づけも異なります。今回は、申請書における日本語能力の記載の考え方と、近年の審査傾向の変化について整理してお伝えします。

在留資格ごとに異なる日本語要件の位置づけ

技術・人文知識・国際業務など就労系の在留資格

技術・人文知識・国際業務をはじめとする多くの就労系の在留資格には、法令上明確な日本語能力の要件は定められていません。審査の中心は、学歴・職歴と業務内容との関連性であり、日本語能力そのものが直接の許可要件になっているわけではありません。ただし、実際の業務が日本語でのコミュニケーションを前提とするものであれば、業務遂行上の実態として日本語能力が間接的に問われる場面はあります。

特定技能

特定技能の在留資格では、多くの分野において日本語能力試験(JLPT)のN4以上、またはこれに相当する国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格が、制度上の要件として明確に定められています。分野によっては、これに加えて分野別の技能評価試験や、介護分野の場合は介護日本語評価試験の合格も求められます。特定技能を目指す場合は、この試験合格が前提条件となるため、「何を書けばよいか」ではなく「試験に合格しているかどうか」がまず問われることになります。

高度専門職・高度人材ポイント制度

高度人材ポイント制度では、日本語能力そのものが加点項目のひとつとなっています。JLPTやビジネス日本語能力テスト(BJT)のスコアに応じてポイントが付与される仕組みがあり、たとえばBJTで一定以上のスコアを取得している場合、JLPTの上位級に相当するものとしてポイントが加算されます。永住許可申請で高度人材ルートを利用する場合も、この加点の有無が申請戦略に影響することがあります。

JLPTなどの資格を持っていない場合、何を書けばよいか

業務上の日本語使用実態を具体的に記載する

JLPTなどの公的な資格を持っていない場合でも、実際の業務でどの程度日本語を使用しているかを具体的に記載することが有効です。たとえば、社内会議への参加状況、日本語での書類作成の頻度、取引先との日本語でのやり取りの有無など、実態に即した記載を行うことで、日本語能力の実質的な水準を伝えることができます。

日常生活における日本語使用の実態を記載する

業務以外の場面でも、日常生活で日本語をどの程度使用しているかは、審査上の判断材料のひとつになり得ます。地域活動への参加、日本語での各種手続の経験なども、記載内容として参考になる場合があります。

日本語学習歴を記載する

日本語学校への通学歴や、独学での学習期間、社内での日本語研修受講歴なども、日本語能力を補足的に説明する材料として記載する意味があります。試験の合否結果だけでなく、学習に取り組んできた経緯を示すことも一定の説得力を持ちます。

申請書のどこに「日本語能力」欄があるのか

日本語能力に関する記載欄は、すべての申請書に一律に設けられているわけではありません。たとえば、特定技能に関する各種申請書には、試験合格の有無や合格した試験名を記載する欄が明確に設けられています。一方、就労系の在留資格の中には、履歴書や職務経歴を記載する様式の中で、語学力に関する自由記述欄が設けられているケースもあります。永住許可申請の理由書のように、決まった様式がない書類の中で、本人が任意に日本語能力について触れる場合もあります。どの書類のどの部分に記載する場面なのかによって、求められる内容の具体性も変わってきます。

具体的な記載例で考える

たとえば、JLPTなどの公的資格を持っていないものの、日本語での業務を10年近く続けている方であれば、「入社以来、日本語での社内会議への参加、取引先とのメールでのやり取り、日本語での報告書作成を継続的に行っている」といった形で、具体的な業務内容とその頻度を記載することが考えられます。単に「日本語が話せます」とだけ書くよりも、いつから、どのような場面で、どの程度の頻度で日本語を使用しているかを示すほうが、審査する側にとって実態を把握しやすい記載になります。

試験の種類による評価のされ方の違い

JLPTは日本語能力を総合的に測る試験として広く知られていますが、ビジネス日本語能力テスト(BJT)は、より実務的なコミュニケーション能力を測る試験として設計されています。高度人材ポイント制度のようにBJTのスコアが加点対象となっている制度もあるため、業務上のコミュニケーション能力を重視する在留資格を目指す場合は、JLPTだけでなくBJTの受験も選択肢として検討する価値があります。それぞれの試験がどの制度でどのように評価されるかを理解した上で、自分の状況に合った試験を選ぶことも一つの戦略です。

永住許可申請における日本語能力の位置づけ

現時点で、永住許可の要件そのものに日本語能力試験の合格が法令上明記されているわけではありません。ただし、実務上は日常生活を自立して送るための日本語能力があるかどうかが、総合的な評価の一要素として見られる傾向があります。なお、永住許可に日本語能力要件を新たに追加する方向性が報道されていますが、2026年時点では具体的な試験区分やレベルは正式には決定していません。この点はあくまで報道ベースの情報であり、正式な制度内容については出入国在留管理庁などの公式発表を必ずご確認ください。

帰化申請における日本語能力の位置づけ

帰化申請についても、国籍法上に日本語能力試験合格を明文で求める規定はありません。しかし、実務上は法務局での面接において、日本語での意思疎通ができるかどうかが確認されており、書類作成についても日本語での対応が前提となっています。小学校低学年程度の読み書き能力が一つの目安とされることが多いですが、これは法令上の明確な基準ではなく、実務上の運用として理解しておくとよいでしょう。

近年の審査傾向の変化

永住許可・帰化許可のいずれにおいても、近年は日本語能力を含めた「日本社会での生活基盤の安定性」がより重視される方向性が見られます。特に永住許可については、2027年4月に予定されている永住許可取消制度の施行までに、日本語能力に関する要件の詳細が固まる見通しであると報じられています。ただし、繰り返しになりますが、これらはあくまで報道段階の情報であり、対象となる試験の種類や求められるレベル、既存の永住者への影響などは未確定です。最新の内容は必ず公式発表でご確認いただくようお願いいたします。

記載時に気をつけたいポイント

申請書の日本語能力欄は、事実と異なる内容を記載してしまうと、後の面接や追加資料の提出時に矛盾が生じるリスクがあります。実際の能力よりも高く見せようとするのではなく、現時点での実態を正確に、かつ具体的に記載することが基本です。学習を継続している場合は、その取り組み自体も前向きな材料として記載できます。

まとめ

在留資格の申請書における日本語能力の記載は、在留資格の種類によって位置づけが異なります。特定技能のように試験合格が明確な要件となっているものもあれば、就労系の在留資格や永住許可のように、実務上の総合評価の一要素として扱われるものもあります。JLPTなどの資格を持っていない場合は、業務上・生活上の実態や学習歴を具体的に記載することが有効です。永住許可における日本語要件の新設については、今後の公式発表を継続的に確認しておくことをおすすめします。

「在留資格 日本語能力 記載方法」「永住許可 日本語 新要件」といった形で検索して情報を探している方も多いかと思いますが、制度の詳細は今後変更される可能性があります。特に永住許可の日本語要件については、施行時期や対象となる試験区分が今後正式に公表される見込みであるため、申請を予定している方は継続的に公式情報を確認しておくことをおすすめします。ご自身の状況に応じた記載内容や、今後の制度改正への備え方について不安がある場合は、専門家への相談もご検討ください。


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