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制度・動向

2026/2/9

外国人雇用を支える3つの制度~JESTA・届出制度・読取アプリの全体像~

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

外国人材の受け入れが拡大する中、政府は様々な制度やシステムを整備してきました。しかし、JESTA(ジェスタ)、外国人雇用状況届出制度、在留カード等読取アプリといった仕組みについて、それぞれがどのような役割を持ち、なぜ必要とされているのか、全体像を理解するのは容易ではありません。

これらの制度は一見バラバラに見えますが、実は「外国人の適正な雇用管理」「不法就労の防止」「行政による実態把握」という共通の目的で連携しています。今回のコラムでは、外国人雇用に関わる3つの重要な仕組みを整理し、それぞれの制度が果たす役割と実務上のポイントを解説します。

JESTA(ジェスタ)とは何か

JESTAの正式名称と目的

JESTA(Japan Employment Service for Technical intern training and specified skilled worker Acceptance)は、「外国人雇用サービスセンター」とも呼ばれ、外国人材の適正な受け入れと雇用管理を支援するための総合的なプラットフォームです。2019年の入管法改正で特定技能制度が創設されたことを契機に、外国人材の受け入れ環境を整備する目的で構築されました。

この仕組みは、技能実習生や特定技能外国人を中心とした外国人材と、彼らを雇用したい企業や受入機関とのマッチングを円滑化し、適正な労働条件の確保や在留資格に応じた就労支援を行うことを主な目的としています。

JESTAが提供する主なサービス

JESTAでは、求人情報の登録と求職者情報の登録を行い、外国人材と企業のマッチングを支援します。特に技能実習から特定技能への移行を希望する外国人や、既に日本国内にいる外国人求職者に対して、適切な就労機会を提供する役割を担っています。

また、外国人を雇用する企業に対しては、在留資格に応じた適切な雇用管理方法や、労働関係法令の遵守に関する情報提供も行っています。ハローワークと連携しながら、外国人の職業紹介や就労支援を実施し、地域における外国人材の適正な就労を促進しています。

なぜJESTAが必要なのか

従来、外国人材の受け入れは個別の送り出し機関や監理団体を通じて行われることが多く、情報の透明性や公平性に課題がありました。また、技能実習を修了した外国人が特定技能へ移行する際に、適切な転職先を見つけることが困難なケースも少なくありませんでした。

JESTAは公的機関として、透明性の高いマッチングの場を提供し、外国人材が適正な労働条件で働ける環境を整備する役割を果たしています。企業側にとっても、信頼できるルートで外国人材を採用できるメリットがあります。

外国人雇用状況届出制度の仕組み

制度の法的根拠と対象

外国人雇用状況届出制度は、労働施策総合推進法第28条に基づき、すべての事業主に義務付けられている制度です。外国人を雇い入れた場合や、雇用していた外国人が離職した場合に、その氏名、在留資格、在留期間などをハローワークに届け出ることが求められます。

この届出義務は、外国人労働者の国籍や在留資格を問わず、また企業の規模にかかわらず、すべての事業主に適用されます。パートタイムやアルバイトとして雇用する場合も届出が必要です。

届出の方法と期限

届出は雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険の資格取得届または資格喪失届によって行います。雇用保険の被保険者とならない外国人については、「外国人雇用状況届出書」を直接ハローワークに提出します。

届出期限は、雇い入れの場合は翌月10日まで、離職の場合は翌日から10日以内とされています。現在は電子申請も可能となっており、オンラインでの手続きも選択できます。

届出制度が果たす役割

この制度の主な目的は、外国人労働者の雇用実態を国が正確に把握することにあります。届出情報は、外国人の就労状況の分析、雇用管理の改善指導、不法就労の防止などに活用されます。

また、届け出られた情報を基に、ハローワークは事業主に対して外国人雇用管理の改善に関する助言や指導を行います。外国人労働者の適正な雇用環境を確保し、労働市場における外国人材の活用を促進する重要な基盤となっています。

届出を怠った場合や虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

在留カード等読取アプリの機能

アプリ開発の背景

在留カード等読取アプリは、出入国在留管理庁が提供する公式アプリケーションです。スマートフォンやタブレット端末で在留カードや特別永住者証明書のICチップ情報を読み取り、券面に記載された情報の真正性を確認できるツールとして開発されました。

近年、偽造在留カードの流通が社会問題化しており、外国人を雇用する企業が知らずに不法就労者を雇用してしまうリスクが高まっています。このアプリは、そうしたリスクを軽減し、企業が安心して外国人を雇用できる環境を整備するために提供されています。

アプリの具体的な使用方法

アプリは出入国在留管理庁の公式サイトから無料でダウンロードできます。使用時には、スマートフォン等のNFC機能を使って在留カード裏面のICチップ情報を読み取ります。

読み取りが完了すると、カードに記録されている氏名、生年月日、国籍・地域、在留資格、在留期間、就労制限の有無などの情報が表示されます。この情報と券面に印字されている情報を照合することで、カードの真正性を確認できます。

なぜ読取アプリが必要なのか

外国人を雇用する際、事業主には在留カードで在留資格や就労制限の有無を確認する義務があります。しかし、偽造在留カードは年々精巧になっており、目視だけでは真偽を判断することが困難になっています。

読取アプリを使用することで、ICチップに記録された情報を確認でき、偽造カードを見破ることができます。企業が不法就労助長罪に問われるリスクを回避し、外国人本人も適法な就労環境で働けるようになります。

また、採用時だけでなく、在留期間の更新確認など継続的な雇用管理にも活用できます。外国人雇用の適正化を進める上で、実務上非常に有用なツールとなっています。

3つの制度の相互関係

それぞれの制度が担う役割の違い

JESTAは主に「マッチング支援」の役割を担い、外国人材と企業を適切につなぐプラットフォームとして機能しています。外国人雇用状況届出制度は「実態把握」の役割を持ち、国が外国人労働者の雇用状況を正確に統計化し、政策立案や指導に活用するための基盤となっています。在留カード等読取アプリは「真正性確認」のツールであり、個々の企業が採用時や雇用継続時に在留資格の適法性を確認するために使用します。

制度間の情報連携

これらの制度は独立して運用されていますが、外国人の適正な就労環境を確保するという共通目的のもとで補完関係にあります。JESTAで求人情報を得た外国人が採用される際には、企業は読取アプリで在留カードを確認し、雇用後には届出制度で雇用状況を報告します。

このように、採用前のマッチング、採用時の資格確認、採用後の実態把握という一連の流れの中で、3つの仕組みが有機的に連携し、外国人雇用の適正化を多層的に支えています。

企業が実務で注意すべきポイント

外国人を雇用する企業は、これら3つの制度すべてに関わることになります。JESTAの利用は任意ですが、届出制度への対応と在留カードの確認は法的義務です。

特に重要なのは、在留カードの確認を形式的に行うだけでなく、読取アプリを活用して実質的な真正性確認を行うことです。また、雇用状況届出を期限内に確実に行うことで、行政からの指導や罰則を回避できます。外国人材の受け入れにあたっては、これらの制度を正しく理解し、適切に運用することが求められています。

まとめ

外国人雇用を取り巻く環境は、制度の整備とともに年々変化しています。JESTA、外国人雇用状況届出制度、在留カード等読取アプリという3つの仕組みは、それぞれ異なる役割を持ちながら、外国人材の適正な受け入れと雇用管理を実現するために連携しています。

JESTAは透明性の高いマッチングの場を提供し、届出制度は雇用実態の正確な把握を可能にし、読取アプリは個別企業による在留資格の確認を容易にします。これらの制度を正しく理解し活用することで、企業は安心して外国人材を受け入れることができ、外国人本人も適法で安定した就労環境を得ることができます。


今回のコラムでご紹介した3つの制度について、皆さんはどのようにお感じになったでしょうか。実務上の疑問点や、さらに詳しく知りたい点などがございましたら、お気軽に当事務所のお問合せフォームからご意見やご質問をお寄せください。皆さんからのフィードバックを今後のコラム作成の参考にさせていただきます。

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