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ミャンマー人の永住許可申請~帰化との違いは~
皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。
在日ミャンマー人の人口は、令和7年末(2025年12月末)時点で18万2,567人(前年末比47,993人、約35.7%増)となり、国籍別増加率で依然として首位を維持しています(出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」より)。この急増の背景には、就労・留学目的による通常の来日増加と、2021年2月のミャンマー軍事クーデター以降の政情不安を理由とした在留継続という、二つの全く異なる流れが重なっています。
こうした背景の中で、日本国籍の取得(帰化)だけでなく、国籍はそのままに無期限の在留資格を得る「永住許可」を検討するミャンマー籍の方も増えています。今回は、永住許可と帰化の違い、そして2026年8月に公表された永住許可ガイドラインの改定案の内容について整理します。

永住許可と帰化許可はどう違うのか
まず基本的な違いを押さえておく必要があります。帰化は日本国籍を取得する手続きで、許可されると外国籍を離脱し戸籍が編製されます。一方、永住許可は国籍を変えずに「永住者」という在留資格を得る手続きです。就労や在留期間の制限がなくなり、更新の手間も不要になりますが、国籍はミャンマーのままなので、選挙権など日本国民に限られる権利は生じません。
ミャンマーも日本と同様に二重国籍を認めていないため、帰化すればミャンマー国籍を喪失することになります。母国とのつながりを保ちながら日本での生活基盤を安定させたいという方にとって、永住許可は現実的な選択です。
永住許可の居住要件——「原則10年」の実際の意味
永住許可の要件は、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」に定められています。原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要で、そのうち就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが求められます。
帰化申請についても、2026年4月の運用見直しにより、法律上は5年以上とされる居住要件が、審査運用上は実質「原則10年以上」を目安とするよう変更されています。結果として、居住年数の面では永住と帰化の基準が近づいた形になっています。ただし帰化は国籍取得という重い効果を伴うため、永住とは審査全体の重み付けが異なる点は変わりません。
特定活動での在留期間は永住の要件に算入されるか
クーデター後の緊急避難措置として「特定活動」の在留資格に変更して在留している方にとって、この期間が永住許可の居住要件にどう扱われるかは重要な論点です。
特定活動は人道的配慮に基づく特別な措置であり、就労系在留資格とは性質が異なるため、居住要件の算入については個別事案ごとの判断になります。一概には言えませんが、可能であれば技術・人文知識・国際業務(技人国)や特定技能などの就労系在留資格への変更を経て、そこから継続して5年以上在留した実績を作るほうが、審査上は説明しやすくなるケースが多いと考えられます。在留資格の変更・更新の経緯が複雑な方は、永住申請の前に在留状況を時系列で整理しておくことをお勧めします。
永住許可で問われる基本の3要件
永住許可では、居住要件に加えて次の3つが審査されます。素行善良要件は、法律を遵守し日常生活においても住民として問題のない生活を送っていることです。独立生計要件は、日常生活において公共の負担にならず、その資産または技能により将来にわたり安定した生活が見込まれることです。そして国益要件には、納税義務や社会保険料の納付など公的義務を適正に履行していることが含まれます。
なお、帰化申請の審査でも2026年4月以降、納税の確認期間が直近5年分、社会保険料が直近2年分へと拡大されており、永住許可の審査と同様に公的義務の履行状況が重視される傾向が強まっています。特定活動での在留期間中も納付義務自体は通常の在留資格と同様に生じているため、住民税・国民年金・健康保険(または社会保険)について、在留期間を通じた納付状況を確認しておくことが、永住・帰化いずれを検討する場合にも共通の前提になります。
2026年8月公表の改定案が示す厳格化の方向性
出入国在留管理庁は2026年8月4日、永住許可に関するガイドラインの改定案を公表し、パブリックコメント(意見公募)の手続きを開始しました。同庁は10月にも正式な改定を行う方針を示しており、永住許可の審査基準が見直される可能性があります。
改定案では、永住許可を「活動・期間の制限がなく、生涯を本邦で過ごすことが想定される最も安定した法的地位」と位置付け、特に慎重な審査を行う必要があるとしています。素行善良要件に大きな変更はありませんが、独立生計要件については「現在及び将来において、日本人と同等水準以上の経済条件」を求める方向が示され、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を継続して上回っていることが基準となる見込みです。国益要件についても、将来の公的年金の受給見込額を考慮する方向や、日本語能力・日本の制度理解を評価対象に加える方向が示されています。
ただしこれらはあくまで2026年8月時点の「改定案」であり、正式な基準額や適用開始時期はパブリックコメントを経て確定します。ネット上では具体的な年収額や試算が紹介されていることもありますが、それらの多くは民間の推計であり、入管庁が正式に公表した基準ではない点に注意が必要です。今後の正式な公表内容を、出入国在留管理庁の発表で必ず確認することをお勧めします。
クーデター後の特定活動を経て就労資格に移行したばかりの方や、来日から間もない方にとっては、収入水準や年金の加入期間の面で新基準の影響を受けやすくなる可能性があります。永住許可を見据えている方は、早い段階から収入基盤や年金加入状況を整理しておくことが望ましいと思います。
永住と帰化、どちらを先に検討すべきか
どちらが良いかは、その方が置かれている状況によって変わります。母国との行き来や親族関係を重視し、国籍を維持したまま生活基盤を安定させたい方には永住許可が選択肢になりますし、日本での長期的な生活を見据え、参政権を含めた完全な権利を得たいという方には帰化が選択肢になります。
また、日本人や永住者との婚姻がある場合は、配偶者としての永住許可申請(要件が一部緩和されます)という道も別途あります。どちらを選ぶにしても、まずはご自身の在留資格の経緯と居住年数を整理し、専門家に相談しながら見通しを立てることが確実な進め方だと思います。
今回の内容はいかがでしたでしょうか。「自分の在留状況で永住申請ができるか確認したい」「改定案が自分にどう影響するか相談したい」など、ご感想やご質問がありましたら、お問い合わせフォームからお気軽にお聞かせください。
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