BLOG

お役立ちBLOG

留学・特活

2025/11/12

特定活動46号で広がる可能性〜日本の大学卒業留学生の新たな就労の道

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

日本の大学を卒業した留学生の就職において、「専攻と職務内容の関連性」が大きな壁となるケースがあります。「優秀な留学生を採用したいが、専攻と業務が合わず在留資格が取れない」「文系学部卒の留学生を製造業で採用できないか」といった相談は少なくありません。このような課題を解決する制度が、平成31年に創設された「特定活動46号」です。今回は、日本の大学を卒業した留学生が幅広い職種で活躍できる道を開く特定活動46号について、その仕組みと活用方法を詳しく解説いたします。

特定活動46号とは何か

特定活動46号は、日本の大学または大学院を卒業・修了した留学生が、高い日本語能力を活かして幅広い業務に従事できるようにするために創設された在留資格です。従来の「技術・人文知識・国際業務」では、専攻と職務内容の関連性が厳格に求められていましたが、この制度では日本語能力を重視することで、より柔軟な就労が可能になります。

制度創設の背景には、日本で学んだ優秀な留学生の国内就職を促進し、人手不足が深刻化する産業分野での活躍を期待する狙いがあります。日本の高等教育機関で学び、高度な日本語能力を身につけた人材を、より広い分野で活用できる仕組みといえます。

技術・人文知識・国際業務との違い

専攻と業務の関連性

技術・人文知識・国際業務では、大学等での専攻と従事する業務の関連性が求められます。例えば、文学部卒業者が製造現場の管理業務に従事することは、原則として認められません。一方、特定活動46号では、日本語を用いたコミュニケーション能力を活かす業務であれば、専攻との直接的な関連性は必ずしも求められません。

従事可能な業務範囲

技術・人文知識・国際業務は、事務職、技術職、通訳・翻訳など、いわゆるホワイトカラー業務が中心です。特定活動46号では、これらに加えて製造業の現場管理、小売業の店舗運営、飲食店のマネジメントなど、より幅広い業務に従事できます。

日本語能力の位置づけ

技術・人文知識・国際業務では、日本語能力は必須要件ではありません。一方、特定活動46号では日本語能力試験N1レベルまたはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上が必須要件となっています。

特定活動46号の申請要件

学歴要件

日本の大学または大学院を卒業・修了していることが必要です。以下が該当します。

  • 4年制大学の卒業者

  • 短期大学の卒業者

  • 大学院(修士課程・博士課程)の修了者

海外の大学卒業者や日本の専門学校卒業者は対象外です。あくまで「日本の高等教育機関」で学んだことが要件となります。

日本語能力要件

以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 日本語能力試験N1の合格

  • BJTビジネス日本語能力テスト480点以上の取得

N1レベルは、幅広い場面で使われる日本語を理解し、論理的に複雑な文章を読んだり、詳細な状況説明ができるレベルとされています。ビジネス場面での高度なコミュニケーションが可能な水準です。

業務内容の要件

日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事することが条件です。具体的には以下のような業務が該当します。

  • 日本人従業員との連絡調整業務

  • 顧客対応や接客業務

  • 本社と現場の間の通訳・翻訳業務

  • 外国人従業員の指導・監督業務

  • マニュアル作成や業務改善提案

単純労働や日本語を使用しない単独作業は認められません。必ず日本語によるコミュニケーションが業務の中核となることが求められます。

給与水準

日本人が従事する場合と同等以上の報酬を受けることが必要です。地域や業種の相場を考慮し、適切な給与設定が求められます。

活用できる業種と具体例

製造業

工場の現場管理者として、日本人作業員や外国人技能実習生への作業指示、品質管理の指導、生産ラインの調整などに従事できます。ただし、単純な組立作業や機械操作のみを行う場合は認められません。

小売業

店舗での接客販売、在庫管理、仕入れ業務の調整、外国人観光客への対応、店舗運営の企画立案などが可能です。商品陳列や清掃のみの業務では認められません。

飲食業

店舗マネージャーとして、従業員の教育指導、顧客対応、メニュー開発への参画、仕入れ先との交渉などに従事できます。調理や配膳のみの業務は対象外です。

宿泊業

フロント業務、外国人客への対応、客室管理の指揮、従業員の研修実施などが該当します。清掃業務のみでは認められません。

申請手続きの流れ

在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)

企業が地方出入国在留管理局に申請し、認定証明書の交付を受けます。本人は海外で認定証明書を受け取り、在外日本大使館・領事館でビザを申請します。入国後、空港で在留カードが交付されます。

在留資格変更許可申請(既に日本にいる場合)

留学生が「留学」から「特定活動46号」へ変更する場合、卒業前または卒業後に地方出入国在留管理局で変更許可申請を行います。審査には通常1か月から3か月程度かかります。

必要書類

企業側が準備する書類としては、雇用契約書、会社の登記事項証明書、決算書類、事業内容を説明する資料、業務内容説明書などがあります。本人側では、卒業証明書、日本語能力試験の合格証明書、履歴書、パスポート、在留カードのコピーなどが必要です。

業務内容説明書では、日本語を用いたコミュニケーション業務が具体的にどのように含まれるかを詳細に記載することが重要です。

特定活動46号のメリット

企業側のメリット

優秀な留学生を専攻に関係なく採用できるため、人材確保の選択肢が広がります。日本の教育を受け、日本社会への理解が深い人材を、製造業や小売業など従来は採用が難しかった分野でも活用できます。高い日本語能力を持つため、職場での円滑なコミュニケーションが期待できます。

留学生側のメリット

専攻に縛られず、自分の関心や適性に合った職種を選択できます。日本で身につけた日本語能力を最大限に活かせる機会が広がります。在留期間は最長5年まで認められ、更新も可能なため、長期的なキャリア形成が可能です。

申請時の注意点

業務内容の明確化

日本語を用いたコミュニケーション業務が業務の中核をなすことを明確に示す必要があります。単純作業の比率が高い場合や、日本語を使用しない業務が中心の場合は不許可となる可能性があります。業務内容説明書には、具体的な業務の流れと日本語使用場面を詳細に記載しましょう。

適切な給与設定

同種の業務に従事する日本人と同等以上の給与を支払うことが必要です。地域の最低賃金を下回ることはもちろん、相場より著しく低い給与設定は認められません。

在留期間の管理

特定活動46号の在留期間は、6か月、1年、3年、5年のいずれかが付与されます。期間満了前に更新申請が必要となるため、企業側での在留期間管理が重要です。

転職時の手続き

転職する場合は、新しい勤務先での業務内容について改めて在留資格変更許可申請または就労資格証明書の申請が必要です。転職先でも日本語を用いたコミュニケーション業務が中核となることを証明する必要があります。

他の在留資格との比較

特定技能との違い

特定技能は、特定産業分野での即戦力となる技能を持つ外国人を受け入れる制度です。日本の大学卒業という要件はなく、技能試験と日本語試験(N4レベル以上)に合格すれば資格を得られます。一方、特定活動46号は日本の大学卒業とN1レベルの日本語能力が必須です。

技能との違い

技能は、特定分野での長年の実務経験(通常10年以上)を持つ外国人を受け入れる在留資格です。中華料理の調理師、建設技能工などが該当します。日本の大学卒業や日本語能力は要件ではありません。

まとめ

特定活動46号は、日本の大学を卒業し高い日本語能力を持つ留学生が、専攻に関係なく幅広い業種で活躍できる道を開く制度です。従来の技術・人文知識・国際業務では採用が難しかった職種でも、日本語によるコミュニケーション能力を活かした業務であれば就労が可能になります。

申請には、日本の大学卒業とN1レベルの日本語能力が必須要件となり、業務内容として日本語を用いたコミュニケーション業務が中核をなすことを明確に示す必要があります。適切な給与設定と詳細な業務内容説明書の作成が、許可取得の鍵となります。

人手不足に悩む企業にとって、日本で学び高い日本語能力を身につけた優秀な留学生を幅広い分野で活用できる特定活動46号は、有力な選択肢となるでしょう。制度を正しく理解し、適切に活用することで、企業と留学生の双方にとって Win-Winの関係を築くことができるはずです。


今回のコラムの内容について、ご感想やご意見がございましたら、お気軽に当事務所のお問合せフォームからお聞かせください。皆さんのご質問やご意見が、今後のコラム作成の参考になります。

無断転載・配布を禁じます。

    一覧に戻る →

    CONTACT

    お問合せ・申請のご依頼はこちらからお願いします。

    090-1906-7399

    受付時間:9:00~20:00
    土日祝日もご相談対応可能
    メール・公式LINEは、24時間受付

    お問合せフォーム →

    HOME