BLOG
お役立ちBLOG
身分系ビザ
永住許可申請の要件と準備|10年の原則と特例
皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。
「日本で暮らして8年になりますが、永住許可はいつから申請できるのでしょうか?」
日本で生活を続ける外国人の方にとって、永住許可を検討する時期は気になる問題ではないでしょうか。働き方や家族の将来を考えるうえでも、申請の条件を早めに理解しておくことは大切です。
永住許可には、原則として引き続き10年以上日本に在留するという基準があります。一方、配偶者や高度人材などには在留年数の特例があります。ただし、年数を満たしただけで許可されるわけではありません。
今回は、10年の原則と主な特例に加え、収入、納税・社会保険、海外への渡航など、申請前に整理しておきたい事項を説明します。2026年10月に改定されたガイドラインについても、適用時期を分けて確認していきましょう。

永住許可によって変わること
永住許可を受けると、在留資格は「永住者」となり、在留期間の更新が不要になります。在留資格上の職種の制限もなくなるため、転職や事業の開始など、生活に合わせて働き方を考えやすくなります。
ただし、仕事に必要な免許や事業の許認可は別途必要です。また、在留カードの有効期間の更新や、住居地の変更届出、海外渡航時の再入国手続などが不要になるわけではありません。
住宅ローンや各種契約でも、永住者であることが判断材料になる場合はありますが、審査条件は金融機関や契約先によって異なります。日本人と同じ扱いが必ず受けられるという説明は適切ではありません。
企業にとっても、従業員が将来の生活を考えやすくなることは、安心して働ける環境づくりにつながります。一方、永住許可は本人の生活に関わる手続であり、勤務先への定着を保証するものではありません。
永住許可の基本要件を理解する
永住許可では、一般に、素行が善良であること、独立した生計を営むための資産または技能があること、永住が日本の利益に合すると認められることが確認されます。
法令の遵守、収入や生活の安定性、在留状況などを総合的に判断するため、一つの条件だけで許可の見通しを決めることはできません。
また、日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子などには、一部の要件に関する特例があります。ただし、それによって納税や社会保険、届出などの確認がすべて不要になるわけではありません。
基本要件と申請時期に応じた取扱いは、出入国在留管理庁「永住許可」で確認してください。
改定の公表日と適用時期を区別する
2026年10月1日改定のガイドラインは、原則として2027年4月1日以降の申請から適用されます。ただし、収入に関する部分は別の取扱いになっています。
公式案内では、2026年4月1日から2027年3月31日までに申請した方、または申請予定の方には、2026年2月24日改訂版を適用しつつ、収入に関する部分は2026年10月1日改定版の該当規定を適用するとされています。
「新しい基準はすべて2027年4月から」と理解せず、自分の申請日に対応する案内を確認することが必要です。改定内容は、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」をご参照ください。
10年の原則と主な特例
原則は継続した在留10年以上
一般的な基準は、引き続き10年以上日本に在留していることです。そのうち、就労資格または居住資格で引き続き5年以上在留していることも確認します。就労資格の期間については、技能実習や特定技能1号を除く取扱いに注意が必要です。
留学から就職した方などは、来日してからの合計年数だけでなく、どの在留資格で、どのような活動を続けてきたかを整理しましょう。
「10年」は来日後の年月を単純に足し合わせればよいという意味ではありません。日本での生活の継続性や、各期間の在留資格も含めて確認します。
配偶者と子の特例は分けて考える
日本人・永住者・特別永住者の配偶者について、従来の特例では、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していることが示されています。
結婚してからの期間と、日本に在留している期間は別の条件です。海外で夫婦生活を続けていた期間があっても、それだけで日本での在留期間を満たすわけではありません。
2026年10月改定版では、配偶者の特例は婚姻生活5年以上・継続した日本での在留3年以上となり、原則として2027年4月1日以降の申請から適用されます。
実子や特別養子については、配偶者の婚姻期間の条件をそのまま当てはめることはできません。従来の特例では引き続き1年以上の日本での在留が示されていますが、申請時期に対応する基準と、本人の身分関係を確認する必要があります。
高度人材の特例はポイントの立証が重要
高度人材には、70点以上の場合の3年、80点以上の場合の1年など、在留年数に関する特例があります。ただし、「高度専門職を持っていれば3年」「現在80点あれば1年」とだけ理解することはできません。
適用する申請区分に応じて、現在だけでなく、3年前または1年前のポイントや、必要な期間の継続在留などを確認します。学歴、職歴、年収、年齢、資格等の根拠資料を、該当する時点に合わせて準備することが重要です。
「技術・人文知識・国際業務」など、高度専門職以外の在留資格で暮らしている方にも、ポイントによる特例を検討できる場合があります。その場合も、単に在留期間を通算するのではなく、必要な過去時点の条件を立証します。
制度の概要は、出入国在留管理庁「高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度」をご確認ください。
出国・収入・納付状況を確認する
出国日数だけで継続性を判断しない
海外への出張や帰省がある方は、出国日、帰国日、渡航理由を整理しておきましょう。再入国許可等を利用して在留資格を維持していても、それだけで永住審査上の継続在留が必ず認められるとは限りません。
「1回90日以内」「年間150日以内」なら問題がないという、一律の安全基準として扱うことはできません。出国の期間や頻度、理由、日本での住居・仕事・家族生活なども確認する必要があります。
2026年10月改定版には海外への長期不在を評価する規定もあるため、従来の実務上の目安だけに頼らず、適用されるガイドラインに沿って判断します。
年収300万円を一律の基準にしない
収入については、年収300万円以上なら許可されるという一律の基準で考えないことが大切です。
2026年10月改定版には、日本人世帯の平均収入を上回る年収水準などに関する規定が示されています。前述のとおり、収入に関する部分には独自の適用時期があるため、申請日と公式案内を照合します。
そのうえで、世帯の構成、扶養する家族、現在と将来の収入、資産などを整理します。一時的な収入増加だけを強調するのではなく、今後も安定した生活を続けられるかを、資料に基づいて説明することが重要です。
未納の有無だけでなく納付期限も確認する
税金、公的年金、公的医療保険料などは、適切に納付しているかを確認します。申請前にまとめて支払えば、それまでの納付の遅れがなかったことになるわけではありません。
特に転職や退職の際には、給与天引きから自分で支払う方法へ切り替わり、納付漏れが生じることがあります。加入制度や納付方法が変わった期間を振り返り、記録を確認しましょう。
必要な証明書や確認期間は申請区分によって異なります。「すべて5年分」と一律に準備せず、公式の必要書類一覧に沿って整理することが大切です。
必要書類と申請時期を整える
自分に合った申請区分の書類を確認する
必要書類は、現在の在留資格や適用する特例によって異なります。申請書、住民票、職業・収入に関する資料、納税・年金・医療保険の資料、身元保証に関する書類などを、該当する区分に合わせて準備します。
高度人材の特例を利用する場合には、ポイント計算とその根拠資料も必要です。理由書についても、必要となる申請区分を確認します。
説明書類では、実際の経歴や生活状況を分かりやすく伝えることが基本です。資料の量や表現の強さより、申請書と証明書類の内容が一致していることを重視しましょう。
現在の在留期限と許可された期間を確認する
永住許可の審査中であっても、現在の在留期限は別に管理する必要があります。期限までに永住の結果が出なければ、現在の在留資格の更新手続を行います。
また、永住申請では、現在許可されている在留期間に関する要件も確認します。2027年4月1日には、在留期間「3年」を最長の在留期間とみなす取扱いが変更されます。経過措置もあるため、申請日と手元の在留カードの期間を照合してください。
転職直後の申請についても、「1年待てば安全」という一律の基準はありません。雇用契約や収入の見通し、納付状況などを確認して検討します。不許可後の再申請も、一定期間待つことだけを目的にせず、不許可理由を踏まえて状況を改善することが重要です。
企業ができる支援
企業は、在職証明書や雇用条件、給与に関する資料を正確に用意することで、従業員の申請準備を支援できます。
職務内容や雇用の継続予定について補足する場合も、実際の契約や会社の方針と一致する説明が必要です。企業の推薦や長期雇用の意思表示だけで、本人の要件不足を補えるわけではありません。
従業員が必要な資料を相談しやすい窓口を設け、発行にかかる日数を共有することも、準備を円滑にする支援になります。
永住許可申請では、10年の原則や特例の年数を確認したうえで、生活の継続性、収入、公的義務の履行、現在の在留状況を整理することが大切です。
制度の改定があるときは、公表日と適用時期を区別し、ご自身の申請にどの基準が適用されるかを確認しましょう。早めに記録を整理しておくことが、無理のない準備につながります。
未来扶桑行政書士事務所では、お一人おひとりの在留経歴や生活状況を伺い、適用できる特例、必要書類、申請に向けた課題を一緒に整理します。
永住許可申請についてのご相談や、この記事へのご感想は、お問合せフォームからお寄せください。
※本記事は2026年10月5日時点の公表情報に基づく一般的な説明です。適用基準や必要書類は、申請日・申請区分・個別の事情によって異なります。申請時には最新の公式情報をご確認ください。
無断転載・配布を禁じます。
一覧に戻る →