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就労系ビザ

2026/2/2

法律・会計業務ビザの実務~外国法事務弁護士・会計士採用ガイド~

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

グローバル化が進む現代のビジネス環境では、国際取引や海外進出に関する法務・会計サービスの需要が高まっています。外国法や国際会計基準に精通した専門家として、外国法事務弁護士や外国公認会計士を日本に招聘する法律事務所や会計事務所が増えています。本コラムでは、外国法事務弁護士や公認会計士など、高度専門職の外国人材を採用する際に必要となる「法律・会計業務」ビザについて、日本の法曹資格・会計士資格との関係、業務範囲の制限、事務所開設の手続きなど、実践的な情報を詳しく解説します。

法律・会計業務ビザの基本要件

対象となる活動内容

法律・会計業務ビザは、外国法に関する法律事務、または外国の公認会計士資格に基づく会計業務を行う外国人に付与される在留資格です。具体的には、外国法事務弁護士として法律相談や契約書作成を行う、外国公認会計士として会計コンサルティングや財務アドバイスを提供するといった活動が対象となります。

重要なのは、外国での資格に基づく業務であることです。日本の弁護士資格や公認会計士資格がなくても、外国で取得した資格があれば、その資格の範囲内で日本において業務を行うことができます。この在留資格は、外国の国家資格を持つ専門家に限定されており、単に法律や会計の知識があるだけでは認められません。

日本の資格との関係

法律・会計業務ビザの特徴は、日本の資格を取得する必要がない点です。例えば、アメリカのニューヨーク州で弁護士資格を取得した外国人は、日本の司法試験に合格しなくても、外国法事務弁護士として日本で法律業務を行うことができます。同様に、アメリカでCPA資格を取得した外国人は、日本の公認会計士試験に合格しなくても、外国公認会計士として会計業務を行うことが可能です。

ただし、業務範囲は外国法または外国の会計基準に関する業務に限定されます。日本法に関する法律業務や、日本の会計基準に基づく監査業務は、日本の資格を持たない外国人には認められません。この業務範囲の制限が、法律・会計業務ビザの最も重要な特徴です。

業務範囲の制限

外国法事務弁護士の場合、資格を取得した国の法律に関する助言、契約書のレビュー、法律意見書の作成などは可能ですが、日本の裁判所での訴訟代理、日本法に基づく契約書の作成、日本法に関する法律相談などは認められません。

外国公認会計士の場合、国際会計基準や外国の会計基準に関するコンサルティング、財務アドバイスなどは可能ですが、日本の会社法に基づく監査、日本の税法に基づく税務申告書の作成などは認められません。

これらの業務範囲の制限は、日本の弁護士法や公認会計士法により定められており、違反した場合は資格外活動として在留資格取消しや刑事罰の対象となります。

外国法事務弁護士の要件と業務範囲

外国での弁護士資格と実務経験

外国法事務弁護士として日本で活動するには、外国において弁護士資格を取得していることが必須です。アメリカの各州、イギリス、フランス、ドイツ、中国など、多様な法域の弁護士資格が該当します。

資格の証明には、外国の弁護士会からの資格証明書、弁護士登録証などを提出します。また、その国で弁護士として実際に業務を行った経験も重視され、通常は3年以上の実務経験が目安とされています。法律事務所での勤務経験、企業の法務部での経験などが評価されます。

日本での業務範囲と承認手続き

外国法事務弁護士が日本で行える業務は、資格を取得した国の法律に関する業務に限定されます。国際取引契約書のレビュー(外国法準拠)、海外進出に関する法律アドバイス、外国法に関する法律意見書の作成、国際仲裁・調停の代理などが可能です。

日本で外国法事務弁護士として活動するには、法律・会計業務ビザの取得に加えて、日本弁護士連合会(日弁連)による外国法事務弁護士としての承認を受ける必要があります。この二段階の手続きが、外国法事務弁護士の特徴です。

承認を受けた後は、独立して法律事務所を開設することも、日本の弁護士と共同事務所を開設することも可能です。事務所の名称には「外国法事務弁護士事務所」であることを明示する必要があります。

外国公認会計士の要件と業務範囲

外国での会計士資格

外国公認会計士として日本で活動するには、外国において公認会計士資格を取得していることが必須です。アメリカのCPA、イギリスのACA、オーストラリアのCAなど、各国の公認会計士資格が該当します。

資格の証明には、外国の会計士協会からの資格証明書、会計士登録証などを提出します。実務経験については、通常3年以上が目安とされ、特に国際会計基準(IFRS)に基づく監査やコンサルティングの経験がある場合、日本での業務にも直結するため高く評価されます。

業務範囲と監査業務の制限

外国公認会計士が日本で行える業務は、外国の会計基準や国際会計基準に関する業務に限定されます。IFRS導入に関するコンサルティング、海外子会社の財務報告に関するアドバイス、国際会計基準に基づく財務諸表の作成支援などが可能です。

一方、日本の会社法や金融商品取引法に基づく監査業務は、日本の公認会計士資格を持たない外国人には認められません。日本の税理士資格がない限り、日本の税法に基づく税務申告書の作成や税務代理も行うことができません。

実務上、外国公認会計士の主な業務は、日本企業の海外進出支援(海外子会社の会計処理、IFRS対応など)、外資系企業の日本法人への会計アドバイス、国際取引の会計処理に関するコンサルティングなどとなります。

受入機関と開業の実務

法律事務所・会計事務所での雇用

外国法事務弁護士や外国公認会計士を雇用する事務所は、雇用契約書に職位、業務内容、給与、雇用期間を明確に記載する必要があります。特に業務内容については、外国法または外国会計基準に関する業務であることを明示し、日本法や日本の会計基準に関する業務を含まないことを明確にします。

大手の国際法律事務所や、Big4と呼ばれる大手会計事務所では、外国法事務弁護士や外国公認会計士を多数雇用しています。中規模・小規模の事務所でも、国際業務の拡大に伴い、外国の資格保持者を採用するケースが増えています。

独立開業と給与水準

外国法事務弁護士は、日弁連の承認を受けた後、独立して法律事務所を開設することができます。外国公認会計士も、独立して会計事務所を開設することが可能です。

給与水準は専門性の高さを反映して高額です。外国法事務弁護士の場合、年収600万円から1,500万円程度、外国公認会計士の場合、年収500万円から1,200万円程度が目安となります。大手国際事務所では、さらに高額な給与が支払われることもあります。

独立開業する場合、事務所の賃貸契約書、事業計画書、開業資金の証明などが、在留資格申請時に求められます。収入は業務の受注状況により変動しますが、国際案件の報酬は一般的に高額です。

在留期間と他ビザとの関係

在留期間の設定と更新

法律・会計業務ビザの在留期間は、3ヶ月、1年、3年、5年のいずれかが付与されます。初回申請の場合は1年または3年が一般的で、大手事務所に雇用される場合は比較的長期の在留期間が付与されやすい傾向があります。

更新時の審査では、業務の実績、収入状況、納税状況などが確認されます。外国法または外国会計基準に関する業務を継続的に行っており、安定した収入があることが更新の条件となります。

高度専門職との関係

外国法事務弁護士や外国公認会計士は、高度専門職ポイント制において有利です。外国の専門職資格、年収、年齢、実務経験などでポイントを獲得しやすく、70点以上に達すれば高度専門職1号(ロ)への変更が可能です。

高度専門職のメリットとしては、5年の在留期間、配偶者の就労制限緩和、親の帯同、永住許可申請の要件緩和などがあります。特に永住許可を視野に入れている場合は、高度専門職への変更を検討する価値があります。

まとめ

法律・会計業務ビザは、外国法事務弁護士や外国公認会計士が日本で専門業務を行うための在留資格です。日本の法曹資格や会計士資格がなくても、外国で取得した資格に基づいて日本で業務を行うことができますが、業務範囲は外国法または外国の会計基準に関する業務に限定されます。

外国法事務弁護士は、日弁連の承認を受けることで、資格を取得した国の法律に関する法律業務を行うことができます。外国公認会計士は、国際会計基準や外国の会計基準に関するコンサルティング業務を行うことができますが、日本の法定監査は行えません。

専門性を反映した高額の給与が支払われることが一般的で、独立開業も可能です。グローバル化が進む法務・会計分野において、外国法や国際会計基準に精通した専門家の需要は今後さらに高まることが予想されます。

法律・会計業務ビザは高度な専門性を要する在留資格であるため、申請に不安がある場合は、入管業務に精通した行政書士に相談することをお勧めします。適切なアドバイスとサポートにより、優秀な外国人専門家の招聘や日本での開業が円滑に進むことを願っています。


今回のコラムは皆さんのお役に立ちましたでしょうか。法律・会計業務ビザの要件や申請手続きについて、ご質問やご意見がございましたら、お気軽にお問合せフォームからお聞かせください。皆さんからのフィードバックを心よりお待ちしております。

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