BLOG

お役立ちBLOG

就労系ビザ

2026/2/17

2027年4月始動の育成就労制度~特定技能との違いと新3分野~

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

2025年1月23日、政府は外国人材の受け入れに関する重要な方針を閣議決定しました。これまで30年以上続いてきた技能実習制度を廃止し、2027年4月から新たに「育成就労制度」を創設することが正式に決定されたのです。同時に、既存の特定技能制度についても対象分野の拡大が発表されました。

外国人材の受け入れを検討している企業の方、日本での就労を希望する外国人の方、そして在留資格申請に携わる私たち行政書士にとって、この制度変更は非常に大きな転換点となります。今回のコラムでは、新たに始まる育成就労制度の概要、特定技能制度との違い、そして新たに追加される3つの分野について詳しく解説していきます。

技能実習制度から育成就労制度への転換

技能実習制度が抱えていた課題

技能実習制度は1993年に創設され、開発途上国への技能移転を目的として運用されてきました。しかし、実態としては人手不足を補う労働力として活用されるケースが多く、制度の趣旨と実態の乖離が長年指摘されてきました。さらに、転籍の制限による労働環境の問題、賃金未払いや長時間労働といった人権侵害の事例も数多く報告されていました。

こうした問題を受け、政府は2023年から有識者会議で抜本的な見直しを進め、「国際的な人材育成」と「国内の人材確保」という二つの目的を明確にした新制度の創設を決定しました。

育成就労制度の基本コンセプト

育成就労制度は、技能実習制度の問題点を解消しつつ、日本の産業を支える外国人材を適切に育成・確保することを目的としています。最大の特徴は、一定期間の就労後に特定技能への移行を前提としている点です。つまり、育成就労は特定技能への「入口」として位置づけられ、より体系的なキャリアパスが描けるようになります。

また、転籍の要件が緩和される見込みで、外国人労働者の権利保護がより強化される方向性が示されています。受け入れ企業側も、単なる労働力としてではなく、将来的に専門人材として活躍してもらうための育成という視点が求められることになります。

対象分野の拡大:新たに加わる3分野

今回の閣議決定では、育成就労・特定技能の対象分野が従来の16分野から19分野へと拡大されました。新たに追加されるのは「物流倉庫」「リネンサプライ」「資源循環」の3分野です。

物流倉庫分野

EC市場の急速な拡大により、物流業界では深刻な人手不足が続いています。特に倉庫内での荷物の仕分け、ピッキング、梱包、在庫管理といった業務を担う人材の確保が急務となっていました。物流倉庫分野では、育成就労と特定技能を合わせて計1万8,300人の受け入れ上限が設定されています。

この分野で想定される業務には、フォークリフトやハンドリフトを使った荷役作業、バーコードスキャナーや在庫管理システムを使った入出庫管理、商品の品質チェック、配送準備などが含まれます。物流の現場では機械化・自動化も進んでいますが、まだまだ人の手が必要な作業が多く、外国人材への期待は大きいと言えます。

リネンサプライ分野

リネンサプライとは、ホテルや病院、飲食店などに対してシーツ、タオル、ユニフォームなどのリネン製品をレンタル・洗濯・配送するサービスです。高齢化社会の進展により医療・介護施設が増加する中、清潔なリネンの安定供給は社会インフラとして重要性を増しています。

この分野での主な業務は、使用済みリネンの回収・仕分け、業務用洗濯機での洗浄、乾燥・プレス作業、たたみ・梱包、配送準備などです。衛生管理の知識や効率的な作業手順の習得が求められますが、体系的な技能育成の仕組みが整えば、外国人材が活躍できる分野として期待されています。

資源循環分野

廃棄物処理や資源リサイクルを担う資源循環分野も新たに追加されました。日本では循環型社会の実現に向けた取り組みが進められており、廃棄物の適切な処理と資源の有効活用が重要な課題となっています。しかし、この分野でも人手不足は深刻で、特に若年層の人材確保が困難な状況が続いています。

資源循環分野では、一般廃棄物や産業廃棄物の収集・運搬、選別作業、リサイクル処理、廃棄物処理施設での機器操作などが想定される業務です。環境保全という社会的意義の高い仕事であり、適切な技能を身につけた外国人材の活躍が期待されます。

特定技能制度の拡充:航空分野に新業務

既存の特定技能制度についても、対象業務の拡大が決定されました。航空分野において、新たに「空港グランドハンドリング」が追加されます。

空港グランドハンドリングとは、空港での航空機の地上支援業務全般を指します。具体的には、航空機の離着陸時の誘導(マーシャリング)、手荷物や貨物の積み降ろし、航空機への給油、機内清掃、機内食の搬入、牽引車による航空機の移動などが含まれます。

訪日外国人旅行者の増加により、日本の航空需要は拡大傾向にあります。それに伴い、空港での地上業務を担う人材の需要も高まっていますが、早朝・深夜を含む不規則な勤務体系などから人手不足が顕著になっています。グランドハンドリング業務は安全性が最優先される専門性の高い仕事であり、適切な訓練を受けた特定技能外国人の活躍が期待されています。

受け入れ人数の上限設定

2027年4月から2029年3月までの2年間で、育成就労と特定技能を合わせた受け入れ人数の上限は123万1,900人と設定されました。内訳は育成就労が42万6,200人、特定技能が80万5,700人です。

この数字は、日本の産業界における深刻な人手不足を反映しています。少子高齢化が進む日本において、外国人材は労働力として欠かせない存在となっており、今後も受け入れ規模は拡大していく見込みです。

ただし、分野ごとに受け入れ上限が設定されており、無制限に受け入れるわけではありません。例えば自動車運送業では、2024年3月時点での特定技能の上限2万4,500人から、新制度では2万2,100人へと若干減少しています。これは、各分野の労働市場の状況や育成体制の整備状況を考慮した調整と考えられます。

育成就労と特定技能の違い

育成就労制度と特定技能制度は連続性のある制度として設計されていますが、それぞれ異なる特徴を持っています。

育成就労は3年間を基本として、特定の分野における技能を段階的に習得することを目的としています。受け入れ企業には外国人材への計画的な育成が求められ、定期的な技能評価が実施される見込みです。この期間を経て一定の技能水準に達すれば、特定技能へ移行することができます。

一方、特定技能は即戦力として一定の技能を持つ外国人を受け入れる制度です。特定技能1号は最長5年、特定技能2号は在留期間の更新回数に制限がなく、実質的に永住への道も開かれています。また、特定技能2号では家族の帯同も認められるなど、より定住を前提とした受け入れとなっています。

つまり、育成就労で基礎的な技能を身につけ、特定技能でさらに専門性を高めながら長期的に日本で働くというキャリアパスが想定されているのです。

企業と外国人双方にとっての意義

受け入れ企業にとって、育成就労制度は計画的な人材育成の機会となります。技能実習制度では3年または5年で帰国することが前提でしたが、新制度では特定技能への移行を通じて、より長期的に人材を確保できる可能性が高まります。投資した育成のコストを回収しやすくなるという利点もあります。

外国人材にとっても、明確なキャリアパスが示されることで、日本での就労に対するモチベーションが向上します。技能を習得し、より高度な業務にチャレンジできる道筋が見えることは、将来設計を立てる上で重要です。転籍要件の緩和により、より良い労働環境を選択できる自由度も高まります。

制度移行に向けた準備

2027年4月の制度開始まで、まだ時間があります。受け入れを検討している企業は、現在の技能実習生や特定技能外国人の状況を整理し、新制度への移行計画を立てる必要があります。既に技能実習生を受け入れている場合、その方々が育成就労や特定技能へスムーズに移行できるよう、情報提供とサポート体制の整備が求められます。

新たに外国人材の受け入れを始める企業は、分野ごとの要件や手続きを事前に確認し、受け入れ体制を整えることが重要です。育成計画の策定、住居の確保、日本語教育の支援、生活面でのサポート体制など、準備すべき事項は多岐にわたります。

外国人の方で日本での就労を希望する場合は、自分の希望する分野が育成就労や特定技能の対象となっているか、どのような技能が求められるのかを調べることから始めましょう。日本語能力の向上も重要なポイントです。

まとめ

2027年4月から始まる育成就労制度は、日本の外国人材受け入れ政策における大きな転換点となります。技能実習制度の課題を解消し、より外国人の権利を尊重した仕組みとして設計されている点は評価できます。物流倉庫、リネンサプライ、資源循環という新3分野の追加、航空分野へのグランドハンドリング業務の追加により、より多様な産業で外国人材の活躍が期待されます。

育成就労から特定技能への明確なキャリアパスが示されたことで、外国人材にとっても企業にとっても、長期的な視点での関係構築が可能になります。日本社会全体で外国人材を適切に受け入れ、共に成長していく体制づくりが今後ますます重要になるでしょう。

今回のコラムでは、新制度の概要をお伝えしましたが、実際の申請手続きや要件の詳細については、今後政府から順次発表される予定です。在留資格申請に関してご不明な点やご相談がございましたら、どうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。


また、今回のコラムの内容についてのご感想やご意見、さらに詳しく知りたいテーマなどがございましたら、ぜひお問い合わせフォームからお聞かせください。皆さんの声を今後のコラム作成の参考にさせていただきます。

無断転載・配布を禁じます。

    一覧に戻る →

    CONTACT

    お問合せ・申請のご依頼はこちらからお願いします。

    090-1906-7399

    受付時間:9:00~20:00
    土日祝日もご相談対応可能
    メール・公式LINEは、24時間受付

    お問合せフォーム →

    HOME