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制度・動向
2026/7/29
更新審査中に期限切れたらどうなる 〜特例期間の実務ポイント〜
皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。
在留期間更新許可申請を提出したものの、審査が終わらないうちに在留期限の日を迎えてしまった。こういう状況になると、多くの方が「不法滞在になってしまうのではないか」と強い不安を感じます。実際には、申請さえきちんと済ませていれば、審査中に在留期限が来てしまっても、すぐに不法滞在になるわけではありません。とはいえ、この「特例期間」と呼ばれる制度には、期間の長さや就労の扱い、海外出国の可否など、いくつかの実務上の注意点があり、正しく理解していないと不要な不安を抱えたまま過ごすことにもなりかねません。今回は、特例期間の仕組みと、実務上知っておきたい注意点をお伝えします。

特例期間とは何か
出入国管理及び難民認定法には、在留期間の満了日までに在留期間更新許可申請を行った場合、その申請に対する処分がされないときは、処分がされる時、または従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日が終了する時のいずれか早い時まで、引き続き従前の在留資格で在留できると定められています。この期間のことを「特例期間」と呼びます。対象となるのは、31日以上の在留期間を持つ方です。
つまり、満了日までに申請を済ませておけば、審査結果が出るまで、または満了日から2か月が経過するまでのどちらか早い時点まで、それまでと同じ在留資格のまま日本にいられるということです。逆にいえば、この2か月というのは無制限に延びる猶予ではなく、はっきりとした期限があるという点に注意が必要です。特例期間の最終日は、通常の在留期限とは違って土日祝日であっても延長されません。この点は見落とされがちなので、覚えておいていただきたいところです。
もっとも、出入国在留管理庁としても、特例期間内に処分が終わるように審査を進めるのが原則です。特例期間そのものが生じるのは、標準的な処理期間内に結論が出ないケースがあるためであり、審査官の側も期限を意識しながら手続きを進めています。特例期間に入ったからといって審査が長期化するとは限らず、むしろ数日から数週間で結果が出ることも少なくありません。
特例期間中の身分証明はどうするか
特例期間に入ると、手元の在留カードに記載されている期限はすでに過ぎている状態になります。この状態のまま銀行や役所、勤務先などで身分証明を求められると、どう説明すればいいのか迷う方が多いようです。
基本的な対応としては、期限が過ぎた在留カードに加えて、申請をしたことを示す証明を併せて提示することになります。窓口で申請した場合は「申請受付票」がこれにあたり、在留カードの裏面に更新申請中であることを示すスタンプが押される運用もあります。オンラインで申請した場合は、在留申請オンラインシステムから届く受付完了のメールが、申請中であることを示す資料になります。勤務先や取引先から在留資格の状況について確認を求められた場合は、こうした資料をあわせて提示し、特例期間中であることを説明できるようにしておくと安心です。
在留カード等読取アプリケーションでICチップを読み取っても、特例期間に入っていることまでは表示されません。窓口や第三者から見た場合、カード単体では期限切れとしか判断できないため、申請受付票やメールの控えは、印刷またはスマートフォンで提示できる状態にして、常に携帯しておくことをおすすめします。
就労はどこまで継続できるか
在留期間更新許可申請の場合、特例期間中は、それまでの在留資格に基づく就労をこれまでと同じ範囲で継続することができます。技術・人文知識・国際業務などの就労系の在留資格であれば、特例期間中も従前と同じ業務を続けて構いません。留学や家族滞在で資格外活動許可を得ている方も、特例期間中はその許可の範囲内でアルバイトなどを続けることができます。
ただし注意したいのは、特例期間中に実際の業務内容が在留資格の範囲を外れている場合です。例えば、更新申請の準備をしている間に転職していて、新しい勤務先での業務内容がこれまでの在留資格に合っていない場合、特例期間中であっても、その業務を継続することが認められない可能性があります。特例期間は「これまでと同じ活動を前提に在留を継続させる」ための制度であって、事情が変わってしまった場合には前提そのものが崩れてしまうためです。転職や職務内容の変更があった方は、特例期間に入る前に、現在の業務内容が在留資格に適合しているかどうかを確認しておくことをおすすめします。
特例期間中 就労できるかというキーワードで検索する方の多くは、まさにこうした転職や異動のタイミングと更新申請が重なってしまい、不安を感じている方だと思います。原則として従前の活動を継続できる制度である一方、事情変更があった場合には個別に判断が必要になるという二段構えの理解を持っておくことが、余計な心配を減らすことにつながります。
特例期間中に海外へ出国する場合の注意点
特例期間中であっても、再入国許可またはみなし再入国許可を得ていれば、海外へ出国することは可能です。ただし、特例期間中に日本へ戻らなければ、その時点で在留資格が失われてしまいます。特例期間には明確な終わりがあるため、出国先での予定が延びて戻れなくなるといった事態は特に避けなければなりません。
また、出国している間に、審査を担当する出入国在留管理局から追加資料の提出を求める連絡が来る可能性もあります。海外にいると対応が遅れがちになり、結果として審査全体が長引いてしまうこともあります。特例期間中に一時帰国や出張で出国する予定がある方は、事前に行政書士などの代理人を立てておく、あるいは出国中も連絡が取れる状態を維持しておくといった準備をしておくと、いざ連絡があった際にも慌てずに対応できます。
企業の担当者が知っておきたいこと
外国人社員を雇用している企業の担当者にとっても、特例期間の仕組みを正しく理解しておくことは大切です。社員から「在留カードの期限が過ぎているが大丈夫か」と相談を受けたときに、特例期間という制度そのものを知らないと、不要に不安を煽ってしまったり、逆に確認を怠ってしまったりするおそれがあります。社員が更新申請中であることを申請受付票やオンライン申請の受付メールで確認し、その内容を人事記録として保管しておくと、労務管理の観点からも安心です。
特例期間中は従前の在留資格の範囲内で就労を継続できるとはいえ、転職や部署異動によって業務内容が変わっている場合は、就労を続けてよいかどうかの判断が必要になります。社内で異動や職務変更があった社員については、更新申請のタイミングと業務内容の変化が重なっていないかを、人事担当者の側でも確認しておくとよいでしょう。
不許可になった場合はどうなるか
特例期間中に審査結果が出て、それが不許可であった場合には、出入国在留管理局から出頭するよう通知があります。多くの場合、日本を出国するための準備期間として、「特定活動」の在留資格への変更が案内され、30日程度の在留期間が与えられます。この期間内に日本を出国する必要があり、期間を過ぎてしまうと不法滞在になってしまいます。まれに31日以上の出国準備期間が与えられるケースもあり、その場合は追加の書類をそろえて再申請したり、別の在留資格への変更を試みたりする余地が残ることもあります。
不許可の理由は、税金や社会保険料の未納、届出義務の違反、業務内容が在留資格に適合していないと判断されたことなど、事案によってさまざまです。通知を受けた段階で理由を丁寧に確認し、再申請によって解消できる事情なのか、それとも在留資格そのものを見直す必要があるのかを早めに見極めることが重要です。いずれにしても、不許可の通知を受けた場合は、できるだけ早く専門家に相談し、次にとるべき手続きを確認することが大切です。
まとめ
特例期間は、審査に時間がかかることを前提に用意された、いわば救済のための制度です。満了日までに申請を済ませておけば、審査結果が出るまで、または満了日から2か月を経過するまでのいずれか早い時点まで、これまでの在留資格のまま日本での生活と就労を続けることができます。ただし、身分証明の準備、就労内容の適合性、海外出国時の対応など、いくつかの実務上の注意点があることも事実です。特例期間 在留カードといった言葉で検索して情報を探している方が多いのも、この制度がいざ自分の身に起きたときに、何を根拠にどう説明すればよいのか分かりにくいという不安の裏返しだと思います。「申請さえ済ませておけば安心」で終わらせず、特例期間中に何をどう証明し、どう行動すべきかまで理解しておくことが、落ち着いて審査結果を待つための土台になります。
今回のコラムの内容はいかがでしたでしょうか。皆さんの感想やご意見を、お問合せフォームからお気軽にお聞かせいただけますと嬉しいです。
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