BLOG

お役立ちBLOG

身分系ビザ

2026/6/29

離婚後も日本に住み続けるために 〜「定住者」への変更という選択肢〜 

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

日本人や永住者と結婚して「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に暮らしていた外国人の方が、離婚や死別という事態に直面したとき、「このまま日本にいられるのだろうか」と不安を感じるのは当然のことです。配偶者ビザは婚姻関係を根拠とした在留資格であるため、その関係が解消されると、在留の法的な根拠そのものが揺らぐことになります。

しかし、離婚したからといって即座に帰国しなければならないわけではありません。日本への定着実績や生活の実態、子どもの養育状況などの個別事情によっては、「定住者」への在留資格変更が認められる道があります。このコラムでは、離婚・死別後の在留資格の変化と、定住者変更が認められる条件・手続きの流れを整理します。

離婚・死別で在留資格はどう変わるのか

まず14日以内の届出が必要

「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ方が配偶者と離婚または死別した場合、その事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理局への届出が義務付けられています(入管法第19条の16)。届出は窓口への持参のほか、郵送でも受け付けられています。この届出を怠ると入管法違反となり、その後の在留資格変更審査にも悪影響を及ぼす可能性があります。まず最初にこの届出を確実に行うことが重要です。

6か月ルールに注意

届出後に特に注意が必要なのが「6か月ルール」です。「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格は、配偶者としての活動(婚姻関係を前提とした生活)を行っていることが在留の根拠となっています。離婚・死別後、正当な理由なく配偶者としての活動を6か月以上継続していない状態が発覚した場合、在留資格取消しの対象になり得ます。離婚が成立したら、できるだけ早く次の在留資格への変更手続きを検討することが大切です。

離婚後の選択肢を整理する

離婚後に日本での在留を継続したい場合、以下のような選択肢が考えられます。ご自身の状況に照らし合わせてみてください。

状況

変更先の在留資格

日本人と再婚する

日本人の配偶者等(更新)

永住者と再婚する

永住者の配偶者等(変更)

専門的な職に就く

技術・人文知識・国際業務 等(変更)

日本に在留を継続したい

定住者(告示外定住)への変更

すでに永住者・就労ビザを持っている

離婚による影響なし

なお、すでに「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格や「永住者」の在留資格を取得している方は、離婚によって在留資格に影響が生じることは原則ありません。

定住者変更が認められる条件とは

離婚・死別後の定住者変更は「告示外定住」として個別に審査される裁量的な許可であり、「この条件を満たせば必ず許可される」という明確な基準はありません。入管が総合的に判断するものですが、審査で重視されるポイントを整理します。

日本への定着性(在留期間・婚姻期間)

出入国在留管理庁が公表している許可・不許可事例の分析から、在留期間と婚姻期間の長さが許可・不許可の分かれ目に大きく影響することがわかっています。許可事例では在留期間がおおむね5年以上、婚姻期間がおおむね3年以上のケースが多く見られます。逆に日本に来て1〜2年で離婚というケースでは、定住者変更は非常に難しい状況になります。

独立した生計を維持できること

安定した収入または生活を支えるに足る資産・技能を有していることが求められます。就労している場合は在職証明書や給与明細、自営の場合は事業実績の証明が重要な疎明資料となります。生活保護などの公的扶助に頼っている状況は審査にとってマイナス要因となり得ます。

日本人実子の養育・監護

前配偶者(日本人・永住者)との間に生まれた実子を日本国内で養育・監護していることは、定住者変更が認められやすくなる重要な事情のひとつです。自らが親権者であり、現に子どもと同居して養育していることが確認できる資料(子の戸籍謄本・学校の在籍証明など)が有効です。

離婚に至った経緯の説明

定住者変更の審査では、なぜ離婚に至ったのかという経緯の説明が求められます。DVや配偶者の不貞行為など婚姻継続が困難だったやむを得ない事情がある場合は、その事実を裏付ける資料(診断書・警察への届出記録・調停記録など)が考慮されます。一方、婚姻実態がなかった(別居期間が長い・海外に長期滞在していたなど)場合や、素行上の問題がある場合は不許可につながる可能性が高まります。

日本語能力

告示外定住の審査では、日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有していることが考慮されます。特定の試験(JLPT N1〜N3など)の合格が必須とされるわけではなく、申請書の記載内容や審査時の面接において意思疎通が可能なレベルであれば問題ないとされています。

入管庁公表の許可・不許可事例から見えること

出入国在留管理庁は「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」から定住者への変更に関する許可事例・不許可事例を公表しています。許可された主な事例としては、DVが原因の離婚で日本人実子の養育実績がある方、死別後に一定の収入と長期在留実績がある方などがあります。一方、不許可となった主な事例としては、実質的な婚姻同居期間が短い・風俗店への勤務・刑事事件での有罪判決・実子の親権者が相手方である、といった事情が挙げられています。

申請の流れと必要書類の目安

申請のタイミングを逃さない

前述の6か月ルールを踏まえると、離婚が成立したら速やかに在留資格変更の準備に着手することが重要です。在留期限も確認し、期限内に申請できるようスケジュールを組みましょう。

共通して必要な主な書類

  • 在留資格変更許可申請書

  • 写真(縦4cm×横3cm)

  • パスポート・在留カード(原本)

  • 離婚届受理証明書または離婚証書(死別の場合は死亡証明書)

  • 住民税の課税証明書・納税証明書

  • 収入を証明する書類(源泉徴収票・給与明細・確定申告書等)

状況に応じて追加が必要な書類

  • 日本人実子がいる場合:子の戸籍謄本・学校の在籍証明書・養育実績を示す書類

  • DVが原因の場合:診断書・保護命令決定書・警察への相談記録など

  • 婚姻期間・在留状況の説明:婚姻中の生活実態を示す写真・共同名義の公共料金領収書など

  • 離婚の経緯説明書(申請人本人が作成する陳述書)

定住者変更は裁量的な許可であるため、書類の内容と経緯の説明が審査結果を大きく左右します。特に離婚に至った事情や日本在留を継続したい理由については、事実を丁寧に整理して伝えることが大切です。

許可後の生活設計 ――定住者として安定した在留へ

定住者への変更が許可されると、就労に制限のない在留資格として日本での生活を継続することができます。工場・飲食・介護・事務など職種を問わず就労が可能で、再就職・転職も自由です。在留期間は状況に応じて1年・3年・5年のいずれかが付与され、以後は更新を重ねながら生活実績を積んでいくことになります。

定住者として5年以上の安定した在留実績を積めば、永住許可申請への道も開けてきます。離婚という困難な状況を経て定住者となった方にとって、その後の更新を着実に重ね、生活基盤を固めていくことが次のステップへの土台になるんです。

まとめ

日本人・永住者と離婚・死別した場合、配偶者ビザはその根拠を失います。しかし、日本への定着性・生計能力・実子の養育・離婚に至る経緯などの事情によっては、告示外定住としての定住者への変更が認められる可能性があります。審査は裁量的なケースバイケースの判断であり、在留期間・婚姻期間の長さが特に重視される傾向があります。

まず離婚・死別から14日以内の入管への届出を確実に行い、6か月という時間的制約を意識しながら早めに次の在留資格への変更手続きを検討することが、日本での在留継続への第一歩です。


今回のコラムを読んで、「自分の状況では定住者変更は難しいのだろうか」「どんな書類を用意すればいいのか」など、気になる点がある方もいらっしゃるかもしれません。具体的な状況についてのご疑問や、このシリーズ全体へのご感想がありましたら、ぜひお気軽にお問合せフォームからお聞かせください。皆さんからのご意見が、今後のコラムづくりの力になります。

無断転載・配布を禁じます。

    一覧に戻る →

    CONTACT

    お問合せ・申請のご依頼はこちらからお願いします。

    090-1906-7399

    受付時間:9:00~20:00
    土日祝日もご相談対応可能
    メール・公式LINEは、24時間受付

    お問合せフォーム →

    HOME