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2025/12/1
ワーキングホリデーから就労ビザへ~特定活動からキャリアを築く
皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。
ワーキングホリデー制度は、若者が外国で休暇を楽しみながら、その国の文化を体験し、滞在資金を補うために働くことができる制度として、多くの国で実施されています。日本でも20か国以上とワーキングホリデー協定を結んでおり、毎年多くの若者が来日しています。
「ワーキングホリデーで来日した外国人を気に入って、正社員として雇用したい」「ワーキングホリデー期間終了後も日本で働き続けたいと言われたが、どうすれば良いのか」といったお声を聞くことがあります。
今回は、ワーキングホリデーから就労ビザへの切り替えと、そこから築けるキャリアパスについてご紹介いたします。

ワーキングホリデー制度の基礎知識
制度の目的と特徴
ワーキングホリデーは、在留資格としては「特定活動」に分類されます。この制度の主な目的は、相手国の文化や生活様式を体験することにあり、観光と就労を組み合わせた活動が認められています。通常の就労ビザと大きく異なる点は、就労が主目的ではないことです。あくまでも休暇を楽しみ、文化を体験するための滞在であり、その滞在資金を補うために働くことが許されているという位置づけです。
対象国と年齢制限
日本とワーキングホリデー協定を結んでいる国は、2025年時点で29か国・地域となっています。年齢制限は通常18歳から30歳まで(一部の国は25歳または26歳まで)で、滞在期間は原則として最長1年間です。
活動の制限
ワーキングホリデーで来日した外国人は、基本的にどのような仕事にも就くことができます。これは技人国のような「学歴と職務の関連性」という制限がないためです。ただし、風俗営業関連業務への従事は認められません。
ワーキングホリデーから就労ビザへの変更
変更の可能性と条件
ワーキングホリデーの在留資格から就労ビザへの変更は可能ですが、いくつかの重要な条件があります。最も基本的な条件は、変更後の在留資格の要件を満たしていることです。例えば、技人国へ変更する場合は、大学卒業または実務経験10年以上という学歴要件を満たし、担当する業務がそれらと関連している必要があります。
また、ワーキングホリデーの本来の趣旨から考えて、当初から就労目的で入国したのではないことを示す必要があります。滞在中に日本の企業文化や仕事のやり方を知り、働きたいという意思を持つに至った経緯を合理的に説明できることが重要です。
技人国への変更
ワーキングホリデーから最も一般的な変更先は「技術・人文知識・国際業務」です。この変更が認められるためには、大学または専門学校を卒業していること(または関連分野で10年以上の実務経験があること)、採用企業での業務内容がその学歴と関連していること、日本人と同等以上の報酬が支払われることなどの要件を満たす必要があります。
ワーキングホリデー中に日本語学校に通い、日本語能力を高めておくことは、就労ビザへの変更や、その後の日本でのキャリアにとって非常に有利に働きます。
特定技能への変更
2019年に創設された特定技能制度により、ワーキングホリデーから特定技能1号への変更も選択肢の一つとなっています。特定技能は12の特定産業分野(介護、ビルクリーニング、製造業、建設、造船、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)で就労が可能です。
変更のためには、技能試験と日本語試験(N4レベル以上)に合格する必要がありますが、学歴要件がないため、大学を卒業していない方でも技能と日本語能力があれば変更が可能です。
変更申請の実務的なポイント
変更申請は、ワーキングホリデーの在留期間が残っている間に行う必要があります。期間満了ギリギリではなく、余裕を持って準備することをおすすめします。審査には1~3か月程度かかることが一般的です。審査期間中は、在留期間満了後も「特例期間」として日本に滞在でき、審査結果を待つことができます。
企業側のメリットと採用のポイント
ワーキングホリデー経験者採用のメリット
ワーキングホリデーで一定期間日本に滞在した外国人を採用することには、いくつかのメリットがあります。日本の生活・文化への適応ができている点は大きな利点です。すでに日本での生活経験があり、日本の文化や習慣、ビジネスマナーについて基本的な理解を持っています。
日本語能力の向上も期待できます。1年間の滞在を通じて、実践的な日本語コミュニケーション能力を身につけている方が多く、入社後の言語面での苦労が少なくなります。人物評価の機会もメリットの一つです。アルバイトとして既に一緒に働いたことがある場合、その働きぶりや人柄を直接確認した上で正社員として採用できるため、ミスマッチのリスクが低減します。
採用時の注意点
一方で、いくつかの注意点もあります。在留資格変更の要件確認は必須です。特に技人国への変更を予定している場合、本人の学歴と担当予定業務の関連性を事前に確認しておく必要があります。適切な雇用条件の設定も重要です。正社員として採用する場合は、給与、労働時間、社会保険など、日本人社員と同等の条件を整備する必要があります。
就労ビザ取得後のキャリアパス
長期就労への道
就労ビザを取得した後は、在留期間の更新を繰り返しながら、日本で長期的にキャリアを築いていくことが可能になります。技人国の場合、初回は1年または3年の在留期間が許可されることが一般的です。その後、更新を重ねることで、最長5年の在留期間を取得できるようになります。
真面目に働き、税金や年金を適切に納付し、素行に問題がなければ、在留期間の更新は比較的スムーズに行えます。ただし、転職などで業務内容が大きく変わる場合は、新しい業務が在留資格に適合しているか確認が必要です。
永住許可と帰化申請
一定期間日本に滞在し、各種要件を満たせば、永住許可の申請も可能になります。原則として、継続して10年以上日本に在留し、そのうち5年以上は就労資格で在留していることが求められます。永住許可を取得すれば、在留活動に制限がなくなり、どのような職種でも働くことができます。
さらに長期的な視点では、日本国籍を取得する「帰化申請」も選択肢の一つです。帰化申請の要件は、原則として5年以上日本に住所があること、素行が善良であること、自己または配偶者等の資産または技能により生計を営むことができることなどです。
業種別によくあるキャリアパスのパターン
ワーキングホリデーから就労ビザへの切り替えは、業種によって異なるパターンが見られます。ここでは、制度上認められている代表的なキャリアパスについてご紹介します。
飲食・サービス業界でのパターン
飲食業界では、ワーキングホリデーで来日した方が、レストランやカフェでアルバイトをしながら日本語能力を高め、その後正社員として採用されるケースがあります。技人国への変更を目指す場合、大学で経営学や観光学などを専攻していた方が、店舗マネジメントや顧客対応の企画立案といった業務に従事することで、学歴と業務の関連性を満たすことができます。また、日本の四年制大学を卒業し、N1レベルの日本語能力を持つ方であれば、特定活動46号という選択肢もあります。特定技能(外食業)への変更も選択肢の一つです。
IT・技術系業界でのパターン
IT業界では、母国の大学で情報工学や関連分野を専攻した方が、ワーキングホリデー期間中に日本のIT企業やスタートアップでインターンシップやアルバイトとして働き、その後技人国へ変更するパターンがあります。この分野では、学歴と業務内容の関連性が比較的明確であり、プログラミングスキルや技術力が評価されやすい傾向があります。実務経験が10年以上ある場合は、学歴要件を満たさなくても技人国への変更が可能です。
ホテル・観光業界でのパターン
観光業界、特にホテル・旅館業では、ワーキングホリデーで来日した方がフロント業務や顧客対応を担当し、その後正社員として採用されるケースがあります。大学で観光学、ホスピタリティマネジメント、語学などを専攻していた方が、インバウンド対応業務や多言語サービスの企画立案などに従事することで、技人国への変更が認められる可能性があります。特定技能(宿泊業)への変更も選択肢です。
製造業・技能系でのパターン
製造業では、特定技能制度の対象分野に該当する場合、ワーキングホリデーから特定技能1号への変更が一般的なパターンとなります。母国での実務経験や、ワーキングホリデー期間中に習得した技能が評価され、技能試験と日本語試験に合格すれば、学歴に関係なく就労ビザへの変更が可能です。
キャリアパス形成の重要なポイント
これらのパターンに共通して重要なのは、ワーキングホリデー期間中に日本語能力を向上させることです。N2レベル以上を目指すことで、就労ビザへの変更可能性が高まるだけでなく、実際の業務遂行においても大きなアドバンテージとなります。次に、自分の学歴や経験と、従事したい業務の関連性を明確にしておくことです。特に技人国を目指す場合、この関連性の説明が審査の重要なポイントになります。
よくある質問と注意点
ワーキングホリデー中の転職は可能か
ワーキングホリデーの在留資格では、基本的に自由に職場を変えることができます。ただし、風俗営業関連業務への従事は認められません。また、雇用主が変わった場合は、ハローワークへの届出が必要です。
変更申請の不許可リスク
就労ビザへの変更申請が不許可となる主な理由として、学歴と業務内容の関連性が認められない場合、報酬が不適切な場合、当初から就労目的であったと判断される場合などがあります。これらのリスクを避けるためには、在留資格の要件を正確に理解し、適切に書類を準備することが重要です。不安な場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
ワーキングホリデーは、若者が日本の文化を体験し、語学力を磨きながら、将来のキャリアについて考える絶好の機会です。そして、この経験を活かして日本で長期的にキャリアを築いていくことも十分に可能です。
企業にとっても、ワーキングホリデー経験者は、既に日本の生活や文化に適応しており、一定の日本語能力を持つ即戦力候補として魅力的な存在です。適切な在留資格への変更手続きを行うことで、優秀な外国人材を長期的に確保できます。
ワーキングホリデーから就労ビザへ、そして永住許可や帰化へと続くキャリアパスは、本人の努力と企業のサポートにより実現可能です。この道筋を理解し、適切なステップを踏んでいくことで、日本での充実したキャリアを築くことができるでしょう。
今回のコラムが、ワーキングホリデーから日本でのキャリア構築を目指す方々、またはそのような外国人材の採用を検討される企業の皆さまにとって、少しでも参考になれば幸いです。ご質問やご感想がございましたら、お気軽にお問い合わせフォームからお聞かせください。皆さんからのご意見は、今後のコンテンツ作りの大切な参考とさせていただいております。
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