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就労系ビザ

2025/7/8

技・人・国ビザ申請で押さえるべき3つのポイントと不許可予防策

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

7月に入り、多くの企業で新年度の採用計画が本格化する時期になりました。特に外国人材の採用をご検討されている企業も多いのではないでしょうか。技術・人文知識・国際業務の在留資格申請は、例年10月頃から翌年5月にかけてピークを迎えるため、今の時期からの準備が成功の鍵となります。

外国人材の採用を進める中で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格申請について、「要件を満たしているつもりだったが不許可になってしまった」「申請のポイントがわからず、準備に時間がかかりすぎている」といったご相談をいただくことがあります。

技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)申請では、審査において重要視される3つの要素があります。これらを適切に理解し、証明することが許可への近道となります。今回は、この3つの要素を軸に、不許可を避けるための具体的なポイントをお伝えできればと思います。

公式YouTubeチャンネルのわかりやすい動画で先に概要をチェック

  「技術・人文知識・国際業務ビザについて」

技人国申請で審査される3つの要素

技人国の在留資格申請では、以下の3つの要素すべてを満たす必要があります。

① 該当性:従事する活動が技人国の在留資格に該当すること
② 適合性:基準省令第1号〜第3号の要件に適合していること
③ 相当性:在留を認めるに足りる相当の理由があること

これらのうち一つでも不十分と判断されると、不許可となる可能性があります。各要素について、よくある不許可理由と予防策を見ていきましょう。

① 該当性:専門性を要する業務であることの証明

技人国の対象業務

技人国の対象となるのは、以下のいずれかに該当する専門的業務です。

技術分野:理学、工学、農学、医学などの自然科学分野の専門知識を要する業務 人文知識分野:法学、経済学、経営学、文学などの人文科学分野の専門知識を要する業務
国際業務分野:翻訳、通訳、語学指導、広報、海外取引業務など外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務

重要なのは「学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする活動」である必要があることです。

該当性での不許可理由

専門性の不足
「未経験可、すぐに慣れます」といった求人や、反復訓練で習得可能な定型業務は該当性を満たさないとされる場合があります。

業務内容の不明確さ
職務内容書で具体的な業務内容が示されていない場合、専門性があるかどうか判断できないため不許可となることがあります。

非該当業務の比重が大きい
在留期間中の活動全体を見て、技人国に該当しない業務が大半を占める場合は不許可となります。

該当性確保のための予防策

職務内容の具体化
担当業務について、なぜその専門知識が必要なのかを具体的に説明することをおすすめいたします。

業務比重の適切な設定
研修期間がある場合は、その期間と内容を明確にし、専門業務が主体であることを示すことが重要です。

業界専門用語の活用
職務内容書では、その分野特有の専門用語を適切に使用し、専門性をアピールすることが効果的とされています。

② 適合性:学歴・経験・報酬要件のクリア

適合性の3つの基準

基準省令第1号:学歴または実務経験要件

  • 大学卒業(関連科目専攻)

  • 専修学校専門課程修了(専門士・高度専門士)

  • 10年以上の実務経験

  • IT分野での資格保有による特例

基準省令第2号:国際業務の場合の追加要件

  • 指定業務(翻訳、通訳、語学指導等)への従事

  • 3年以上の関連実務経験(大学卒業者の翻訳・通訳・語学指導は除く)

基準省令第3号:報酬の同等性

  • 日本人が同種業務に従事する場合と同等以上の報酬

学歴と業務の関連性について

大学卒業者の場合
出入国在留管理庁の審査要領では「比較的緩やかに判断される」とされており、大学の教育機関としての性格を踏まえ、専攻科目と従事しようとする業務の関連性は柔軟に判断されることが一般的です。

専修学校卒業者の場合
原則として「相当程度の関連性を必要とする」とされ、大学卒業者より厳格な基準が適用されます。ただし、認定専修学校専門課程修了者については、専攻科目と業務の関連性は比較的緩やかに判断されることもあります。

IT分野での特例制度

情報処理に関する業務については、特別な制度があります。

IT告示による学歴要件免除
情報処理技術者試験の合格者や特定の資格保有者は、学歴要件を満たさなくても技人国の申請が可能となる場合があります。対象となる試験・資格は法務省告示で詳細に定められており、日本国内の試験のほか、中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、タイ、モンゴル、バングラデシュ、シンガポール、韓国で実施される情報処理技術者試験も含まれます。

活用のメリット

  • 実務経験豊富だが学歴要件を満たさない優秀な人材の採用が可能

  • アジア各国で実施される情報処理技術者試験も対象に含まれている

実務研修期間の適切な取り扱い

採用当初の実務研修について、適切な理解がないことで不許可となるケースがあります。

認められる研修の条件

  • 日本人社員に対しても同様に行われる研修であること

  • 在留期間の大半を占めるものではないこと

  • 今後の専門業務に必要となる研修であること

  • 採用から1年間を超える場合は研修計画の提出が必要

注意が必要なケース

  • 外国人のみに設定された長期研修

  • 日本人社員との研修内容に不合理な差異がある場合

  • 実質的に単純労働に従事させる期間が長期にわたる場合

適合性確保のための予防策

関連性の論理的説明
学歴と業務の関連性について、履修科目の内容も含めて具体的に説明することをおすすめいたします。

実務経験の詳細な立証
実務経験を根拠とする場合は、在職証明書や業務内容詳細書等で十分な立証を行うことが重要です。

報酬水準の市場調査
同業他社や地域相場との比較により、報酬の妥当性を客観的に示すことが効果的とされています。

研修計画の適切な設定
研修計画を作成する際は、日本人社員の研修内容と比較して合理性があるかを確認することをおすすめいたします。

③ 相当性:総合的な許可妥当性の立証

相当性とは何か

相当性は、申請人の在留を認めることが適当と認められる「相当の理由」があるかを総合的に判断する要素です。具体的には以下の観点から審査されます。

  • 事業の適法性、安定性、継続性

  • 業務内容の妥当性と申請人の専門性

  • 両者の関連性と採用の必要性

  • 業務量と今後の計画・見通し

  • 申請内容全体の信憑性

相当性での不許可理由

事業の安定性への疑問
新設会社や業績不振の会社において、事業継続性に疑問が生じる場合。

採用の必要性が不明確
なぜその外国人材を採用する必要があるのか、採用経緯や理由が不明確な場合。

申請内容の整合性不足
提出書類間で記載内容に矛盾があるなど、申請内容の信憑性に疑問が生じる場合。

業務量の不足
フルタイム雇用を前提としているにも関わらず、実際の業務量が不十分と判断される場合。

相当性確保のための予防策

事業計画の具体的説明
特に新設会社や業績変動がある場合は、今後の事業計画を具体的に説明することをおすすめいたします。

採用理由の明確化
なぜその外国人材が必要なのか、事業上の必要性を論理的に説明することが重要です。

書類間の整合性確保
申請書類全体を通じて、記載内容に一貫性があることを確認することが大切です。

業務量の適切な設定
雇用形態に見合った適切な業務量があることを具体的に示すことが効果的とされています。

適切な申請のための事前準備

採用段階での確認事項

外国人材を採用する際は、以下の点を事前に確認することをおすすめいたします。

  • 現在の在留資格と在留期間

  • 学歴・職歴の詳細と従事予定業務との関連性

  • 日本語能力と業務遂行に必要なスキル

  • 過去の在留状況(適法な在留の継続)

申請書類作成時の注意点

一貫したストーリー構築
3つの要素すべてを満たしながら、申請全体として一貫したストーリーを構築することが重要です。

根拠資料の充実
主張する内容については、必ず客観的な根拠資料を添付することをおすすめいたします。

想定質問への準備
審査において質問されそうなポイントを事前に想定し、回答を準備しておくことが効果的です。

継続的な管理の重要性

許可取得後も、以下のような管理が重要となります。

  • 実際の業務内容が申請時の内容と一致しているかの確認

  • 在留期間満了日の適切な管理

  • 業務内容や勤務条件に変更があった場合の適切な対応

中小企業での効率的な取り組み方

計画的な準備
申請には相当な準備期間が必要となるため、採用計画の段階から在留資格要件を考慮することをおすすめいたします。

段階的な準備
3つの要素を意識しながら、段階的に準備を進めることで効率的な申請が可能となります。

チェックリストの活用
該当性・適合性・相当性の各要素について、確認すべき事項をリスト化することをおすすめいたします。

公的支援制度の活用
ハローワークの外国人雇用管理アドバイザーや、各自治体の外国人材採用支援制度を積極的に活用することで、効率的な準備が可能となります。

専門家サポートの活用

技人国申請では、3つの要素すべてを適切に立証する必要があり、「どの要素が不足しているのかわからない」「相当性をどう説明すれば良いかわからない」といったお悩みをお聞きすることがあります。

専門家によるサポートでは、例えば以下のような形で包括的なお手伝いができる場合があります。

申請戦略の立案

  • 3要素の観点からの事前診断

  • 個別事情に応じた最適な立証方針の策定

  • 予想される審査ポイントの事前把握

書類作成の専門的支援

  • 該当性を効果的にアピールする職務内容書の作成

  • 適合性を明確に示す学歴・経験の整理

  • 相当性を論理的に説明する理由書の構成

継続的なコンプライアンス支援

  • 許可後の適切な在留管理

  • 業務内容変更時の影響評価

  • 更新申請時の戦略的準備

このような専門的サポートにより、申請の成功確率向上と企業の負担軽減を両立できることもあります。

まとめ

技術・人文知識・国際業務の在留資格申請では、該当性・適合性・相当性という3つの要素すべてを適切に立証することが成功の鍵となります。

特に重要なのは、これらの要素が互いに関連し合っていることを理解し、申請全体として一貫したストーリーを構築することです。また、大学卒業者と専修学校卒業者で関連性の判断基準が異なることや、IT分野での特例制度、実務研修の適切な取り扱いなど、実務的な知識も重要となります。

申請ピーク期を迎える前の今の時期から、3つの要素を正しく理解し、適切な準備を行うことで、優秀な外国人材の採用をより確実に進めていただけるのではないでしょうか。


この記事についてご質問やご感想がございましたら、お気軽にお問い合わせフォームからお聞かせください。皆様からのご意見は、今後のコンテンツ作りの参考にさせていただいております。特に「3要素のうち、どの部分で不安がある」「うちの会社の場合の相当性をどう説明すれば良い?」といったリクエストも大歓迎です。

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