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留学・特活

2025/10/3

留学生アルバイト雇用の注意点〜週28時間ルールと管理法〜

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

コンビニエンスストアや飲食店、宅配業界など様々な業界で、外国人留学生がアルバイトとして活躍している光景を目にすることが多くなりました。一方で、「留学生を雇用したいが、どのような制限があるのかよく分からない」「週28時間の制限は知っているが、具体的にどう管理すれば良いのか迷っている」といった声も聞かれます。外国人留学生のアルバイト雇用は、適切な知識と管理体制があれば貴重な人材確保の手段となりますが、法的要件を理解せずに雇用すると重大な法的リスクを招く可能性もあります。

今回は、外国人留学生をアルバイトとして雇用する際の法的要件、注意点、実務的な管理方法について詳しく解説いたします。

留学ビザと資格外活動許可の基本知識

留学ビザの本来の目的と制限

留学の在留資格は、日本の教育機関で教育を受けることを主たる目的とした在留資格です。本来はアルバイト等の就労活動は一切認められておらず、学習活動が主目的となっています。留学生がアルバイトを行うためには、出入国在留管理局から「資格外活動許可」を取得することが絶対に必要です。

資格外活動許可制度の仕組み

一般的なアルバイトの場合は包括許可を取得します。包括許可を取得した留学生は、週28時間以内という時間制限の中で、風俗営業関連を除く様々な業務に従事できます。この許可の有無は、在留カードの裏面で確認できます。「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」という記載があれば、適法にアルバイトを行うことができます。

企業としては、必ずこの記載を確認し、記録として保管しておくことが重要です。許可を取得していない留学生を雇用すると、企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。

週28時間制限の正しい理解と実務管理

週28時間制限の計算方法と注意点

週28時間制限は、月曜日から日曜日までの1週間単位で厳格に計算され、月単位での平均ではありません。ある週が25時間で別の週が31時間だった場合、平均では28時間以内であっても法律違反となってしまいます。

さらに重要なのは、複数のアルバイト先での勤務時間を合算して計算することです。留学生がA店で週20時間、B店で週10時間働いている場合、合計30時間となり、制限を超過してしまいます。企業は自社での勤務時間だけでなく、留学生の他での就労状況も把握する必要があります。

長期休業期間中の特例措置

大学等の長期休業期間中(夏休み、春休み等)には、事前に資格外活動許可の変更許可を受けることで、1日8時間・週40時間まで就労が可能になります。しかし、この特例を利用するためには、留学生が事前に出入国在留管理局で手続きを行い、許可を取得しなければなりません。

効果的な時間管理システムの構築

雇用時に留学生から他のアルバイト先での勤務状況を詳細に聞き取ることから始めます。シフト作成時に週単位での勤務時間を事前に計算し、28時間を超えないよう調整します。また、月1回程度の定期面談を実施し、他のアルバイト先での状況変化がないか確認することをおすすめします。

禁止業務の理解と職場環境の配慮

風俗営業関連業務の具体的な範囲

資格外活動許可を受けた留学生でも、風俗営業法に規定される業務には一切従事できません。これには明確に風俗営業と分かるキャバクラやホストクラブだけでなく、パチンコ店やマッサージ店での勤務も含まれます。

判断が困難なケースとして、カラオケボックスや居酒屋での勤務があります。カラオケボックスの場合、一般的な受付や清掃業務であれば問題ありませんが、接客サービスの内容によっては風俗営業関連とみなされる可能性があります。このような判断が困難な場合は、事前に出入国在留管理局に相談し、明確な判断を求めることが安全な対応方法です。

学業との両立を考慮した職場環境作り

留学生の雇用においては、彼らの本来の目的である学業を最優先に考慮した職場環境を整備することが重要です。深夜勤務は法的には可能ですが、翌日の授業への影響を考慮し、過度な深夜勤務は避けるよう配慮します。また、試験期間中やレポート提出期限が近い時期には、シフトの調整に柔軟に対応することで、留学生が学業と就労を適切に両立できる環境を提供します。

雇用時の確認事項と適切な書類管理

雇用前に実施すべき確認手順

留学生を雇用する際は、まず在留カードの確認から始めます。在留資格が「留学」であることを確認し、在留期間が有効期限内であることをチェックします。そして最も重要なのが、在留カード裏面の資格外活動許可の記載確認です。

必須確認項目

  • 在留資格:「留学」の記載

  • 在留期間:有効期限内

  • 資格外活動許可:「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」の記載

  • 他のアルバイト先:勤務先、勤務時間、シフトパターンの詳細

この確認作業は実際に在留カードを手に取って目視で確認し、コピーを取って保管することが必要です。

雇用契約書作成における特別な配慮

留学生との雇用契約書には、一般的な労働条件に加えて、資格外活動許可の制限に関する特約を明記することが重要です。具体的には、週28時間以内での勤務義務と、他のアルバイト先との合算で制限を超えない責任について明確に記載します。

企業が負う法的責任とリスク管理

不法就労助長罪の具体的なリスク

企業が留学生を不適切に雇用した場合、入管法第73条の2に規定される不法就労助長罪に問われる可能性があります。

法的処罰の内容

  • 個人:3年以下の懲役または300万円以下の罰金

  • 法人:300万円以下の罰金(両罰規定)

該当する行為

  • 資格外活動許可を取得していない留学生の雇用

  • 週28時間を超える就労をさせること

  • 風俗営業関連業務に従事させること

これらの違反は「知らなかった」では済まされず、企業には適切な確認義務があるとされています。

予防策としての管理体制構築

このようなリスクを避けるため、企業は体系的な管理体制を構築する必要があります。

雇用前の確認体制

  1. 在留カード・資格外活動許可の確認手順をマニュアル化

  2. 確認書類のコピー保管(最低3年間)

  3. 他のアルバイト先での勤務状況の詳細聞き取り

  4. 担当者全員が同じレベルで確認作業を実施

継続的な管理体制

  1. 週単位での勤務時間管理システムの導入

  2. 月1回の勤務状況確認面談の実施

  3. 在留期間満了日の管理簿作成と更新確認

よくあるトラブル事例と実践的な対処法

他のアルバイト先との合算による時間超過への対応

実際によく発生するトラブルとして、留学生が複数のアルバイト先で働く際の時間管理ミスがあります。留学生がA店で週20時間、B店で週12時間勤務し、気づかないうちに合計32時間となってしまうケースです。

このような状況が発覚した場合、まず即座に勤務時間の調整を実施し、制限内に収まるよう調整します。予防策としては、雇用時の他のアルバイト先詳細確認を徹底し、月1回の勤務状況報告制度を導入します。

長期休業期間中の管理ミスとその対策

夏休み等の長期休業期間中に、週40時間の許可を取得せずに長時間勤務をさせてしまうトラブルも頻繁に発生します。長期休業期間前には必ず確認体制を整備し、留学生に許可取得の必要性を説明します。許可取得が確認できるまでは従来の週28時間制限を適用し、安全な運営を心がけます。

留学生雇用のメリットと戦略的活用

企業にとっての具体的なメリット

外国人留学生を適切に雇用することで、企業は多くのメリットを得ることができます。意欲的で向学心の高い人材を確保できること、多言語対応能力を活用した外国人観光客への接客サービス向上、国際的な視点を持った職場づくり、将来的な正社員採用候補としての育成などが挙げられます。

効果的な活用戦略の実践

留学生の雇用を戦略的に活用するため、段階的な責任拡大を計画的に実施します。

段階的な責任拡大プロセス

  1. 初期段階(1-3ヶ月):基本的な業務からスタート

  2. 習熟段階(3-6ヶ月):日本語能力向上に応じた業務拡大

  3. 発展段階(6ヶ月以降):リーダーシップ業務や新人指導

初期段階では基本的な業務からスタートし、日本語能力の向上と業務習熟に応じて徐々に責任範囲を拡大します。同時に、多文化共生の職場づくりにも取り組み、日本人従業員に対する多文化理解研修を実施し、留学生の文化的背景への配慮を促進します。

専門家サポートの活用と継続的な改善

外国人留学生の適切な雇用管理について、「資格外活動許可の確認方法が分からない」「勤務時間管理の具体的な方法を知りたい」「不法就労にならないか不安」といったお悩みをお聞きすることがあります。

このような課題に対して、専門家によるサポートでは雇用管理体制の構築支援から始まります。在留資格確認のチェックリスト作成、勤務時間管理システムの設計、雇用契約書の適切な作成支援など、具体的な管理ツールの整備をお手伝いできます。

継続的なコンプライアンス管理として、定期的な法令遵守状況の確認、制度変更に関する最新情報の提供、トラブル発生時の対応サポートも可能です。さらに、将来的な正社員採用を視野に入れた在留資格変更申請のサポートや、長期的な人材活用計画の検討もお手伝いできる場合があります。

まとめ

外国人留学生のアルバイト雇用は、適切な知識と管理体制があれば、企業にとって貴重な人材確保の手段となります。成功のために重要なポイントは以下の通りです:

法的要件の確実な遵守

  • 資格外活動許可の確認

  • 週28時間制限の厳格な管理

  • 禁止業務への従事防止

継続的な管理体制の構築

  • 定期的な在留資格確認

  • 勤務時間の適切な記録・管理

  • 留学生とのコミュニケーション維持

将来を見据えた人材活用

  • 正社員採用への発展可能性

  • 多文化共生の職場環境整備

  • 企業の国際化推進への貢献

これらの要素を適切に管理することで、留学生と企業の双方にとってメリットのある雇用関係を実現できます。法的リスクを回避しながら、優秀な人材の確保と育成を進めていただければと思います。


今回のコラムの内容はいかがでしたでしょうか。外国人留学生の雇用についてのご質問や、「うちの職場での管理方法はこれで適切だろうか」「具体的な管理システムを構築したい」といったご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせフォームからお聞かせください。皆さんからのご意見は、今後のコンテンツ作りの参考にさせていただいております。

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