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制度・動向
2027年からの新制度〜社会保険料滞納と在留資格更新〜
皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。
2025年11月に発足した新内閣のもと、在留外国人の社会保険料滞納問題に対する新たな方針が発表されました。2025年6月13日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針)」には、外国人の在留審査における社会保険料未納情報の活用方針が盛り込まれ、2027年6月からの制度導入に向けて準備が進められています。この新制度は、日本で生活する多くの外国人の方々の在留資格更新に直接影響する重要な変更となります。

- 政府が打ち出した新方針の概要
- 骨太の方針2025に盛り込まれた内容
- 2027年6月からの新制度の内容
- 外国人の社会保険料納付の現状
- 納付率の実態
- 現行制度と新制度の違い
- 現在の取り扱い
- 2027年6月以降の変更点
- 新制度が影響を与える在留資格と対象者
- 対象となる在留資格の範囲
- 永住許可申請における厳格な審査
- 在留資格審査の厳格化がもたらす影響
- 審査基準の総合評価への移行
- 単なる滞納の有無だけでなく改善努力も評価
- 外国人本人が取るべき対応
- 現在の納付状況の確認
- 滞納がある場合の対応
- 在留資格更新前の準備
- 雇用する企業側の責任と対応
- 企業が果たすべき役割
- 具体的な対応策
- 制度の背景にある課題と議論
- 納付率が低い背景にある要因
- 新制度に対する様々な意見
- まとめ:今後の展望と準備すべきこと
政府が打ち出した新方針の概要
骨太の方針2025に盛り込まれた内容
政府は2025年6月13日に閣議決定した「骨太の方針2025」において、外国人との秩序ある共生社会の実現を掲げ、社会保障制度の適正利用を推進する方針を明確にしました。上野賢一郎厚生労働大臣は「日本人と外国人が互いに尊重し、安全に安心して暮らせる共生社会を実現する観点から、社会保障制度の適正利用等を推進することが必要」と述べています。
新方針のポイント:
出入国在留管理庁と厚生労働省が連携してシステムを構築
国保の納付情報と在留管理情報を連携
2027年6月から実際の審査運用に反映
2027年6月からの新制度の内容
新制度では、国民健康保険料や国民年金を滞納し、納付を求めても応じない外国人に対して、原則として在留資格の変更や更新を認めない取り扱いとなります。
新制度の主な特徴:
国保の納付履歴を入管データベースと自動連携
滞納がある場合には警告が自動表示
未納を放置すると在留資格更新が困難に
滞納期間や悪質性の基準は今後省令で規定予定
外国人の社会保険料納付の現状
納付率の実態
国民健康保険:
外国人加入者:約97万人(国保全体の4%)
外国人の納付率:63%
全体の納付率:93%
格差:30ポイント
国民年金:
外国人の納付率:49.7%(半数以下)
医療費未払い:
未払いがあった医療機関:65.3%
うち外国人の未払いがあった割合:29.3%
未払い金全体に占める外国人の割合:1.4%
現在、厚生労働省は20万円以上の医療費未払いがある外国人観光客のデータを集約し、再入国拒否の判断に活用しています。新制度では、この医療費未払い情報についても中長期在留者に対象を拡大する方針です。
現行制度と新制度の違い
現在の取り扱い
現在の指針では、保険料の滞納は「消極的要素として評価する」という表現にとどまっています。また、現行システムでは入管側が外国人の国保料滞納状況を一元的に把握できないため、「特定技能」など一部の在留資格に限り納付証明書の提出を求める運用となっています。
2027年6月以降の変更点
新制度のポイント:
国保・年金の納付管理と在留管理を一体化
「生活の実態」と「制度の履行」を総合評価
2026年度に全国の自治体システムと入管システムを連携
滞納情報が自動的に入管へ通知
これまで見逃されていた滞納も明確化
新制度が影響を与える在留資格と対象者
対象となる在留資格の範囲
新制度は中長期在留者で在留資格の変更または更新を行う外国人が対象となります。
主な対象在留資格:
就労系:「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「経営・管理」など
身分系:「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」
その他:「留学」など
特に、在留期間3か月超の中長期在留者で、勤務先の健康保険組合に入らず国民健康保険への加入義務がある外国人や留学生が主な対象です。会社員で勤務先の健康保険に加入している場合は、保険料が給与から特別徴収されるため基本的に問題ありません。
永住許可申請における厳格な審査
永住許可申請では、現時点ですでに厳格な審査が実施されています。直近2年間に税金・社会保険料・年金保険料の滞納歴があると不許可となり、申請直前に遡って支払っても、適正な支払い開始から2年間の納付実績が必要です。新制度により、永住許可以外の在留資格更新でも社会保険料の納付状況が重視される方向性が明確になりました。
在留資格審査の厳格化がもたらす影響
審査基準の総合評価への移行
新制度により、在留資格審査は「職務内容や報酬基準」に加えて、社会的義務である保険・税金の納付状況を含めた総合評価へと明確に移行していきます。
在留資格の更新において重要な「狭義の相当性」の判断において、納税義務の履行状況がより重視されることになります。従来から素行の良好性、独立した生計の維持、雇用・労働条件の適正性、入管法で定める届出義務の履行などが考慮されてきましたが、今後は社会保険料の納付状況が新たな重要要素として加わることになります。
単なる滞納の有無だけでなく改善努力も評価
重要な点として、新制度では形式的に滞納があるか否かだけでなく、「改善努力をしているか」「滞納を放置していないか」が評価されることが想定されています。完納証明書の提出、分納計画書、自治体への相談記録などが審査資料として求められる可能性があります。
つまり、過去に滞納があった場合でも、適切に対処し改善に向けて努力している姿勢を示すことができれば、更新が認められる可能性は残されています。逆に、滞納を放置し改善の意思が見られない場合には、厳しい判断がなされることが予想されます。
外国人本人が取るべき対応
現在の納付状況の確認
まず重要なのは、ご自身の国民健康保険料と国民年金の納付状況を確認することです。
確認方法:
お住まいの市区町村の国民健康保険課で納付証明書を取得
年金事務所で納付状況を確認
会社員で勤務先の健康保険加入者は基本的に問題なし
転職・退職時の一時的な国保加入に注意
滞納がある場合の対応
すぐに取るべき行動:
市区町村の窓口に相談
分納計画の作成や納付猶予の申請
定期的な納付で「改善努力」を示す
相談記録や分納計画書を保管(更新時の重要な証拠資料)
経済的に一括納付が困難でも、分納計画を立てて定期的に納付していれば「改善努力をしている」と評価される可能性があります。
在留資格更新前の準備
更新申請時のポイント:
余裕を持って納付状況を確認
納付証明書・納税証明書を事前準備
2027年6月以降はシステム連携で滞納情報が自動共有
誠実な現状報告と改善への取り組み説明が重要
雇用する企業側の責任と対応
企業が果たすべき役割
外国人従業員の在留資格が更新されなければ雇用関係を継続できないため、企業も社会保険の加入・納付を適切に管理する責任があります。社会保険の適用拡大により、短時間労働者も順次加入対象となっているため、定期的な確認が重要です。
具体的な対応策
企業が取り組むべきこと:
在留資格更新前に従業員へ納付証明書の提出依頼
滞納・未加入判明時は専門家への相談を促進
入社時・契約更新時に保険加入・納付義務を書面で説明
従業員の理解確認を記録
企業が積極的にサポートする姿勢は、審査官にとって信頼できる受入れ体制として評価されます。
制度の背景にある課題と議論
納付率が低い背景にある要因
主な要因:
制度への理解不足
言語の壁による情報アクセスの困難
短期滞在予定のため将来受給を想定しない心理
経済的困難(特に留学生のアルバイト収入のみの生活)
雇用主による保険手続き管理の不十分さ(技能実習生など)
本人の責任だけでは語れない構造的な問題も存在します。
新制度に対する様々な意見
賛成声: 「日本で暮らすなら義務を果たすのは当然」「納税者の負担を軽減すべき」
慎重な意見: 「在留資格を人質にする制度だ」「支援が先にあるべき」「支払い能力の問題と制度理解不足は区別すべき」
制度の厳格化が支援の後退を意味してはならず、バランスの取り方が重要な課題です。外国人が制度を理解しやすい仕組みの整備、多言語での情報提供、相談窓口の充実など、支援体制の強化も同時に進める必要があります。
まとめ:今後の展望と準備すべきこと
2027年6月からの新制度導入に向けて、政府は2026年度中にシステム改修と準備を完了させる計画です。影響は在留資格の更新時期に応じて順次現れ、外国人労働者を抱える企業にも広く波及することが見込まれます。
日本に住む外国人の皆さんにとって、国民健康保険は安心して医療を受けるための重要な制度であり、国民年金の納付も日本人と同様の義務です。新制度の導入を前に、今のうちから納付状況をしっかり確認し、在留資格の更新に影響しないよう十分注意することが大切です。
すでに滞納がある方は、できるだけ早く市区町村の窓口に相談し、改善に向けた行動を起こしましょう。企業で働く外国人の方は、勤務先の担当者にも相談し、適切なサポートを受けることをお勧めします。
不安な点がある方、具体的にどう対応すべきか分からない方は、在留資格申請を専門とする行政書士にご相談ください。当事務所でも、在留資格更新に関するご相談を承っております。
今回のコラムは、2027年からの新制度について詳しく解説いたしましたが、いかがでしたでしょうか。ご感想やご意見、あるいは「こんな点についてもっと詳しく知りたい」といったご要望がございましたら、お気軽にお問合せフォームからお聞かせください。皆さんからのフィードバックは、今後のコラム作成の貴重な参考とさせていただきます。
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