BLOG

お役立ちBLOG

就労系ビザ

2026/5/14

広がった特定技能の対象分野~2024年と2026年決定の計7分野の全体像~

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

特定技能制度は2019年の創設以来、対象分野が段階的に拡大しています。2024年3月の閣議決定で「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加されて16分野体制となり、さらに2026年1月23日の閣議決定で「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が追加されることが正式に決まりました。これにより特定技能は計19分野へと拡大します。

2024年追加の4分野はすでに受け入れが始まっており、2026年決定の3分野は2027年からの本格運用開始に向けて試験整備等が進んでいる段階です。一方で、急増する在留者数が分野ごとの受け入れ上限に迫りつつあるという新たな局面も生まれています。自社の業種がいずれかの分野に該当するかを把握したうえで、早めに採用計画を立てることが、これからの外国人材活用戦略の出発点になります。今回は7分野それぞれの業務内容・背景・受け入れのポイントを整理します。

2024年追加の4分野——すでに受け入れ可能

① 自動車運送業

「2024年問題」として知られる時間外労働規制の適用を受けた物流・運送業界は、慢性的なドライバー不足に直面しています。この課題に対応するため、2024年3月の閣議決定でトラック・バス・タクシーの運転業務が特定技能の対象に加わりました。5年間の受け入れ見込み数は最大24,500人です。

従事できる業務は、事業用自動車(トラック・タクシー・バス)の運転およびそれに付随する業務全般です。この分野の最大の特徴は、他の分野にはない固有要件として日本の運転免許証の取得が必要なことです。特定技能の試験に合格しても、日本の運転免許を取得していなければ業務に就くことができないため、採用計画の段階から免許取得支援を組み込んでおくことが実務上必要になります。現時点では特定技能1号のみ対象で、特定技能2号は未対応です。

② 鉄道

鉄道分野は、少子高齢化による国内人材不足と鉄道インフラの維持という観点から追加されました。5年間の受け入れ見込み数は最大3,800人です。

業務区分は5つに分かれており、運輸係員(運転士・車掌・駅係員)・軌道整備・電気設備整備・車両製造・車両整備が対象です。安全性が最優先される公共インフラであることから、特定技能外国人の受け入れは段階的・慎重に進められています。受け入れ人数が他分野と比べて少ない設定になっていることも、この分野の特徴を反映しています。現時点では特定技能1号のみ対象です。

③ 林業

林業分野の追加は、国内の森林・木材産業を担う人材の不足、特に地方山間部での深刻な担い手不足への対応が目的です。5年間の受け入れ見込み数は最大1,000人です。

業務の中心は、伐採・造林・育林・木材の搬出など森林管理に関わる作業全般です。勤務地が山間部・地方に限定されるケースが多く、都市圏への求人集中が見込まれる他分野と異なり、地方での外国人材定着に直結する分野です。体力的・安全面での対応が必要な業務が多いため、受け入れにあたっては職場環境の整備が特に重要になります。現時点では特定技能1号のみ対象です。

④ 木材産業

木材産業分野は、製材・合板製造など木材の加工・生産に関わる職種が対象で、5年間の受け入れ見込み数は最大5,000人です。

業務内容は木材の製材・加工・品質検査・梱包など、木材製品の製造・流通に関わる作業全般です。国産木材の需要増加や建設需要を背景に追加されており、林業と親和性の高い分野です。受け入れ企業は農林水産省が設置する「木材産業特定技能協議会」への加入が必要です。現時点では特定技能1号のみ対象です。

2026年1月決定の3分野——2027年からの本格運用を見据える

2026年1月23日の閣議決定により、特定技能の対象分野として新たに追加が決まった3分野は、2026年度中に技能評価試験の整備や分野別協議会の発足が進められ、2027年4月以降に順次受け入れが開始される見通しです。現時点ではまだ受け入れは始まっていませんが、今から制度を理解し準備を進めることが、制度開始と同時にスムーズな採用を実現するうえで重要です。

⑤ リネンサプライ

リネンサプライとは、ホテル・病院・介護施設などから回収したシーツ・枕カバー・タオル・制服などを洗濯・仕上げ・再納品する衛生管理型の業務を担う産業です。観光需要の回復・増加に伴いホテル業界の需要が急増している一方、慢性的な担い手不足が続いており、今回の特定技能追加に至りました。

従事が想定される業務は、洗濯・乾燥・アイロン・プレス・たたみ・包装などの仕上げ業務と、リネン製品の納品・回収補助といった集配業務です。感染症対策や納期管理の精度が求められる現場であり、衛生管理に関する知識・意識が重視されます。技能実習制度でのリネンサプライの受け入れ実績があるため、技能実習修了者の特定技能への移行ルートも想定されています。

⑥ 物流倉庫

EC(電子商取引)需要の拡大を背景に、物流倉庫業界は慢性的な人手不足が続いています。特定技能の対象追加は、倉庫内業務の担い手不足に対応するものです。

業務内容は倉庫内での入荷から出荷までの一連の作業で、荷物の受け入れ・仕分け・棚入れ・ピッキング・梱包・出荷などが含まれます。単純な搬送作業にとどまらず、在庫管理システムの操作や品質確認など、一定の技能・理解が必要な業務が対象として想定されています。受け入れ企業には倉庫業法・貨物運送事業法上の適切な事業者であることや、在庫管理システムの整備などが要件として課される見通しです。

⑦ 資源循環(廃棄物処理)

高齢化社会の進展とリサイクル需要の増加を背景に、廃棄物の中間処理業を担う人材の確保が課題となっています。資源循環分野は、廃棄物処理法等の規定を遵守する適正な廃棄物処理事業者での就労が対象です。

業務内容は、廃棄物の収集・分別・中間処理(破砕・圧縮・焼却補助等)に関わる作業が中心となる見通しです。環境法令の遵守が受け入れ企業の前提条件となり、廃棄物処理法やプラスチック資源循環促進法などの規定を満たす事業者であることが必要です。安全衛生上のリスクが高い業務を含むことから、受け入れにあたっての安全衛生体制の整備が特に求められます。

7分野の追加をまとめて整理する

2024年・2026年に追加・決定された7分野の概要を整理すると、次のような共通の特徴が見えてきます。

いずれの分野も「生産性向上や国内人材確保に最大限取り組んでもなお不足する人手」への対応として追加されており、日本の社会インフラ・産業基盤を支える分野が選ばれています。自動車運送業は物流を、鉄道は交通インフラを、林業・木材産業は国土・資源を、リネンサプライ・物流倉庫は観光・EC経済を、資源循環は環境・廃棄物処理を、それぞれ担う分野です。

受け入れにあたっては分野ごとに所管省庁・協議会・試験実施機関が異なります。自社の業種がいずれかの分野に該当する場合は、受け入れ開始前に所管省庁の最新情報を確認することが必要です。2024年追加の4分野については試験情報・協議会加入手続きがすでに整備されており、今すぐ採用を検討することができます。2026年決定の3分野については、2026年度中に詳細が固まる見通しであるため、情報収集を継続しながら準備を進めることをお勧めします。

5年間の受け入れ上限数が過去最大規模に

2026年1月の閣議決定では、特定技能・育成就労の2028年度末までの5年間の受け入れ上限数が計123万1,900人(特定技能1号80万5,700人・育成就労42万6,200人)に設定されました。これは過去最大規模であり、日本政府が外国人材の受け入れを本格的に拡大する方向性を明確に示したものです。

上限超過による受け入れ停止——外食業で制度創設以来初の事態

制度の拡大が進む一方で、分野ごとの受け入れ上限数に達したことで新規採用が停止されるという事態も現実のものとなっています。

その最初の分野が外食業です。外食業の特定技能1号の受け入れ上限は2024年度から2028年度末の5年間で5万人と設定されていましたが、2026年2月末時点で在留者数は約4万6,000人に達しました。全産業平均の増加率32%を大きく上回る53%という急増ペースを受け、農林水産省と出入国在留管理庁は2026年4月13日以降、新規の在留資格申請を原則停止すると発表しました(2026年3月27日公表)。これは2019年の制度創設以来、初めての長期停止措置です。

この急増の背景には、コロナ禍後のインバウンド急増・外食需要の回復により人手不足が深刻化し、特定技能への依存度が高まったことがあります。他業種が2024年3月の閣議決定で上限数を大幅に引き上げたのに対し、外食業の上限は制度創設時の5万人から据え置かれたままでした。この「現場の実態と制度設計のズレ」が今回の事態を招いたともいえます。

この停止措置は現時点では外食業に限られたものですが、飲食料品製造業でも2025年末時点で在留者数が9万人を超えており、全16分野の中で最多の在留者数を記録しています。他の分野でも受け入れ枠の残数が徐々に埋まりつつあり、「採用したいときに採用できない」という事態が今後複数の分野で生じる可能性があります。

特定技能は拡大が続く制度である一方、分野ごとの上限という制約が現実の採用計画に直結するようになってきています。自社の業種における受け入れ枠の残数と増加ペースを定期的に確認し、余裕のあるうちに採用を進めることが、これからの特定技能活用において欠かせない視点です。


今回の内容はいかがでしたでしょうか。「自社の業種が特定技能の対象になったのか」「どの分野でどんな人材を採用できるのか」といったご質問から、「受け入れ枠の残数を確認したい」というご相談まで、お問い合わせフォームからお気軽にお聞かせください。

無断転載・配布を禁じます。

    一覧に戻る →

    CONTACT

    お問合せ・申請のご依頼はこちらからお願いします。

    090-1906-7399

    受付時間:9:00~20:00
    土日祝日もご相談対応可能
    メール・公式LINEは、24時間受付

    お問合せフォーム →

    HOME