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技能実習から特定技能1号への移行手続きと準備
皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。
「技能実習生が実習を修了するが、引き続き働いてもらいたい」「特定技能への移行を検討しているが、何から準備すればよいのか」とお考えの企業担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
技能実習から特定技能1号への移行は、日本で経験を積んだ人材の継続雇用を考えるうえで、有力な選択肢です。ただし、実習を終えれば自動的に移行できるわけではありません。本人の要件、担当する業務、企業の受入れ体制を確認し、必要な許可を受けることが大切です。
今回は、技能実習修了者を特定技能1号で受け入れる際の確認事項と、準備の進め方を整理します。

- 技能実習から特定技能へ移行するメリット
- 経験を継続雇用につなげられる
- 本人にとっても働き方を考える機会になる
- 試験免除の条件を正しく確認する
- 技能試験と日本語試験を分けて考える
- 「良好に修了したこと」を示す資料
- 職種名の一致より、対応関係が重要
- 公式資料と実際の仕事内容を照合する
- 建設分野は現在の業務区分で確認する
- 業務内容と支援体制を具体的にする
- 仕事内容は実態に合わせて説明する
- 支援計画を受入れ後の運用につなげる
- 海外採用との費用・期間の比較
- 初期費用と継続費用を分けて考える
- 就労開始までの期間には余裕を持つ
- 書類準備を早めに始める
- 本人の希望と在留期限を最初に確認する
- 最新の提出書類一覧で管理する
- 育成就労制度も見据えた人材育成
- まとめ
技能実習から特定技能へ移行するメリット
経験を継続雇用につなげられる
技能実習で経験を積んだ方は、日本の職場での働き方や生活に慣れていることが期待できます。同じ企業で継続して働く場合には、本人の技能や得意な仕事を把握していることも、配置や育成を考える助けとなります。
ただし、特定技能へ移行した後の仕事が、これまでの実習とまったく同じとは限りません。担当業務や責任の範囲、待遇について改めて説明し、本人の希望も確認しましょう。
国内での移行では、海外から新たに採用する場合に比べ、渡航や生活の立ち上げに伴う負担を抑えられることがあります。一方、特定技能1号としての支援は必要です。「日本で暮らしているから支援は不要」と考えず、本人の状況に合わせて受入れ体制を整えます。
本人にとっても働き方を考える機会になる
特定技能1号の在留期間は、原則として通算5年以内です。これは、一度の許可で5年間在留できるという意味ではなく、許可された期間ごとに更新などの手続きを行います。
雇用契約では、同等の業務に従事する日本人と同等額以上の報酬など、所定の基準を満たす必要があります。継続雇用に際しては、給与や仕事内容を本人が理解できる方法で説明しましょう。
また、要件を満たせば転職も可能です。ただし、受入れ機関が変わる場合には、在留資格変更許可申請が必要となります。同じ分野への転職でも、届出だけで新しい勤務先の仕事を始められるわけではありません。
試験免除の条件を正しく確認する
技能試験と日本語試験を分けて考える
技能実習2号を良好に修了した方には、特定技能1号への移行に際して試験免除の仕組みがあります。ただし、「実習を修了すれば、すべての分野で試験が不要」と理解するのは適切ではありません。
技能試験の免除には、修了した技能実習の職種・作業と、移行先の特定技能の分野・業務との対応関係を確認する必要があります。
日本語については、国際交流基金日本語基礎テストや日本語能力試験N4以上を求める分野・区分では、技能実習2号を良好に修了した方は、原則として実習の職種・作業にかかわらず当該試験が免除されます。ただし、分野固有の追加試験や、異なる日本語水準が求められる場合の取扱いは別に確認します。
企業は、技能試験の免除と日本語試験の免除を分けて整理し、対象分野の最新の案内を確認しましょう。
「良好に修了したこと」を示す資料
良好な修了の確認では、技能実習を行った期間に加え、技能検定3級などの実技試験の合格証明書や、実習状況を示す評価調書などが重要になります。
実習期間が終わったという事実だけで判断せず、本人の修了状況を示す資料がそろうかを早めに確認します。必要な資料を提出できない場合も、直ちに移行できないと決めつけず、代替資料の取扱いを申請先へ確認しましょう。
試験免除が利用できる場合でも、雇用契約や支援計画、企業側の要件などの審査は行われます。免除を受けられることと、在留資格の許可を受けられることは、分けて考える必要があります。
職種名の一致より、対応関係が重要
公式資料と実際の仕事内容を照合する
技能実習の職種・作業名と、特定技能の分野・業務区分は、名称の体系が異なります。名前が完全に一致することが条件ではなく、試験免除の対象として対応しているか、予定する仕事が認められる業務に該当するかを確認します。
確認は、次の順序で進めると整理しやすくなります。
認定された技能実習計画などで、実習の職種・作業を確認する
最新の公式対応表で、移行先の分野・業務との関係を確認する
特定技能で担当する具体的な仕事を整理する
不明点があれば、申請先や分野の担当窓口へ確認する
対応していない分野への移行も、必要な試験に合格するなど、別の経路を検討できる場合があります。「対応表に載っていないから移行は不可能」と結論づけず、本人の希望と必要な要件を確認しましょう。
建設分野は現在の業務区分で確認する
建設分野の業務区分は、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分です。技能実習で行った作業と、移行後に担当する業務について、国土交通省などの最新資料で対応関係を確認します。
建設分野では、建設特定技能受入計画の認定など、分野固有の手続きも必要です。在留資格の申請だけに目を向けず、企業側で先に進める手続きや、必要な加入・登録も含めて準備しましょう。
業務内容と支援体制を具体的にする
仕事内容は実態に合わせて説明する
申請では、職種名だけでなく、本人がどこで、どのような作業を担当するのかを具体的に説明します。
担当する工程、使用する設備、配属先などを整理し、雇用契約や業務説明の内容に食い違いがないかを確認しましょう。許可を得るために実態と異なる説明をすることは避け、予定する仕事そのものが制度に適合しているかを検討します。
主たる業務に従事する日本人が通常行う関連業務については、付随的に担当できる場合があります。ただし、関連業務だけに専ら従事することは認められません。「作業時間の半分未満ならよい」といった割合だけで判断せず、対象分野の規定と実際の働き方を確認します。
支援計画を受入れ後の運用につなげる
特定技能1号では、職業生活、日常生活、社会生活に関する支援計画を作成し、基準に沿って実施することが求められます。
本人が理解できる言語での事前説明、住居確保の支援、相談対応、日本語学習の機会の提供など、必要な支援を確認します。すでに日本で暮らしている方でも、移行に伴って必要となる説明や対応があります。
自社で支援する場合は、必要な体制や実績などの要件を確認します。登録支援機関へ委託する場合は、委託する範囲、費用、連絡方法、緊急時の対応などを具体的に取り決めておくと安心です。
海外採用との費用・期間の比較
初期費用と継続費用を分けて考える
国内での移行と海外採用を比較する際は、申請費用だけでなく、採用から就労開始後までの費用を整理しましょう。
国内移行では、在留資格変更の手数料、書類取得や翻訳、申請支援、住居変更などの費用が考えられます。海外採用では、これらに加え、採用経路に応じた紹介費用や渡航費、生活を始めるための費用なども確認します。
いずれの場合も、継続的な支援や日本語学習、住居などに関する費用を見込むことが大切です。行政書士報酬や支援委託費用は依頼内容によって異なるため、見積りの対象範囲を確認しましょう。
在留資格変更の手数料は、申請受付日、申請方法、許可される在留期間などによって異なります。2026年10月1日以降の申請に適用される金額については、出入国在留管理庁の「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」をご確認ください。
就労開始までの期間には余裕を持つ
準備や審査に要する期間は、本人の状況、提出資料、対象分野、審査の混雑状況などによって異なります。国内移行だから必ず早い、海外採用だから必ず長いとは限りません。
試験の開催日や結果発表、分野固有の認定なども考慮して、希望する就労開始日から逆算して計画しましょう。
書類準備を早めに始める
本人の希望と在留期限を最初に確認する
実習修了の数か月前から、本人の就労希望、現在の在留期限、試験免除の条件、企業側の受入れ要件を確認します。確認事項によっては、さらに早い準備が必要です。
企業と本人の担当を決め、資料の収集、雇用契約の説明、支援計画の作成、分野固有の手続きを並行して進めると、行き違いを減らせます。
申請時期は、対象分野や申請先の案内に沿って確認します。技能実習期間中に申請を準備・提出する場合も、実習の修了状況や許可までの活動を確認し、技能実習計画を安易に中断しないよう注意しましょう。
最新の提出書類一覧で管理する
必要書類は、本人の申請経路、企業の状況、分野などによって異なります。本人の技能実習関係資料、雇用契約関係資料、企業の納税・社会保険関係資料、支援計画、分野固有の資料などを、最新の一覧に沿って整理します。
チェックリストには、担当者、取得期限、原本・写しの別、翻訳の要否を記載しておくと便利です。追加資料を求められた際にも対応できるよう、申請内容の根拠となる資料を保管しましょう。
申請を提出しただけで、特定技能として働き始められるわけではありません。必要な許可を確認したうえで、就労を開始します。
育成就労制度も見据えた人材育成
2027年4月1日からは、育成就労制度の運用が始まります。今後の採用や人材育成を考える際には、新制度の方向性も把握しておくことが大切です。
一方、現在の技能実習から特定技能への移行は、本人の実習状況と適用される制度に沿って進めます。将来の制度と現在の手続きを混同せず、経過措置などの最新情報も確認しましょう。
制度の背景や今後の受入れを考える視点については、関連記事「特定技能・育成就労制度の今とこれから ~2026年、受入れ制度はどこへ向かうのか」も併せてご覧ください。
まとめ
技能実習から特定技能1号への移行では、次の三つが重要です。
良好な修了と試験免除の条件を、資料に基づいて確認する
実習の職種・作業と移行先の業務の対応を、最新の公式情報で確認する
雇用条件、支援体制、分野固有の手続きを含め、早めに準備する
企業の継続雇用の希望だけでなく、本人がどのように働きたいかを話し合うことも大切です。移行を機に仕事内容と待遇を見直し、双方が納得して働ける環境を整えていただければと思います。
技能実習から特定技能への移行について、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せフォームからご相談ください。本人の状況と企業の受入れ体制を確認し、安心して次の一歩を踏み出せるよう、準備を一緒に考えてまいります。
この記事へのご感想や、今後取り上げてほしいテーマもお待ちしております。
※本記事は一般的な制度説明です。申請要件や必要書類は、最新の公式情報と個別の事情に応じて確認してください。
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