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2026/2/23

特定技能・育成就労制度の今とこれから ~2026年、受入れ制度はどこへ向かうのか 

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

日本の外国人労働者受入れ制度は、2024年から2027年にかけて大きな転換期を迎えています。長年にわたり批判を受け続けてきた技能実習制度が事実上廃止され、新たに「育成就労制度」が2027年6月に施行される予定です。また、特定技能制度も受入れ数の急拡大に伴い、運用の見直しが進んでいます。今回は「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対策」(令和7年閣議決定)の内容をもとに、まず各制度の概要を整理した上で、2026年時点で認識されている課題と今後の施策の方向性、そして申請・在留への影響をお伝えします。

特定技能制度とは何か

特定技能制度は2019年4月に創設された在留資格で、深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を持つ外国人材の受入れを目的としています。現在は介護、建設、農業、外食業、宿泊など16の特定産業分野が対象です。

1号と2号の違い

特定技能1号は通算5年を上限とする在留で、家族帯同は原則不可です。取得には技能試験と日本語試験(N4レベル以上)への合格が必要ですが、技能実習2号を良好に修了した方はこれらが免除されます。特定技能2号は在留期間の更新が可能で、配偶者や子の帯同も認められます。現在は建設・造船の2分野のみで運用されていますが、対象分野の拡大が検討されています。

企業が果たすべき支援義務

特定技能外国人を受け入れる企業には、法律上10項目にわたる包括的な支援の実施が義務付けられています。事前ガイダンス、入出国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーション、公的手続きへの同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進、転職支援、定期的な面談がその内容です。中小企業では登録支援機関への委託(月額2〜5万円/人 程度)によりこれらを確実に実施することが一般的です。

育成就労制度とは何か

技能実習制度は「国際協力・技術移転」を建前としながら、実態は労働力確保として機能しているという矛盾を長年抱えてきました。転職が原則不可であることから外国人材の権利保護に課題があり、監理体制にも大きなばらつきがありました。こうした構造的問題を解消するため、2024年6月に改正法が成立し、育成就労制度が2027年6月施行予定となっています。

現時点で判明している主な特徴は次の通りです。初期3年間を「育成期間」と位置づけ技能・日本語能力の向上を支援すること、一定条件下での転職を認めること、修了後は特定技能へ円滑に移行できる仕組みとすること、そして監理支援機関の要件を厳格化することです。技能実習制度は2027年に新規受入れを停止し、2030年頃に完全廃止となる見通しです。

2026年時点で何が問題になっているのか

特定技能制度の急拡大と「歪み」

政府は2025年の特定技能受入れ目標を80万人台まで引き上げる方針を閣議決定しており、拡大路線は続いています。しかしこの急拡大の陰で、分野ごとの需給バランスの乱れ、登録支援機関の支援の質のばらつき、「日本人と同等以上」という賃金原則が必ずしも徹底されないケースの報告、といった問題が顕在化しています。

制度移行期の混乱と日本語能力への課題

2026年2月現在、育成就労制度の制度設計の詳細はまだ固まりきっておらず、受入れ企業・監理団体ともに対応方針を立てにくい状況が続いています。また総合対策では、外国人が日本語や日本の制度・ルールを十分に習得していないことが、生活上のトラブルや不法残留につながっているとの認識も示されています。

政府が打ち出している施策の方向性

総合対策では、特定技能・育成就労制度について複数の方針が明記されています。

受入れの柔軟な調整として、受入れ対象分野における生産性向上・省人化を推進しつつ、状況に応じた受入れの停止や受入れ見込数の再設定を「不断に検討」するとされています。単に受入れを増やし続けるのではなく、国内の雇用状況や産業構造に応じて随時調整する姿勢を明確にしたものです。

日本語教育の強化についても重点的な取組が示されています。具体的には、来日前・来日後の各段階に応じた日本語学習プログラムの創設が検討されており、このプログラムの受講・理解を在留審査の考慮要素とすることも視野に入っています。また、外国人が生活・就労に必要な基礎情報を得られる「生活・就労ガイドブック」の整備や、「やさしい日本語」の普及促進も進められる予定です。これらは、外国人材が孤立することなく日本社会に適応するための環境整備として位置づけられています。

申請・在留への具体的な影響

特定技能で働く外国人の方へ

受入れ分野の見直しが随時行われる可能性があるため、自分が従事している分野が引き続き受入れ対象かどうかを定期的に確認することが重要です。また、日本語学習プログラムの受講が在留審査の要素となる方向で検討が進んでいるため、積極的に日本語能力を高める姿勢が、今後の在留更新において重要性を増してくる可能性があります。

技能実習生・育成就労を予定している方へ

育成就労制度では入国前の日本語能力要件(A1相当以上)が課される見通しです。転職が一定条件下で認められる予定ですが、育成期間中の転職については条件が限定される可能性が高く、詳細が固まり次第の確認が必要です。

受入れ企業・監理団体の担当者の方へ

最も重要な対応は二点です。一つ目は、現在受け入れている技能実習生について特定技能への移行支援を計画的に進めること。二つ目は、育成就労制度の制度詳細が2025〜2026年にかけて順次決定されるため、業界団体や専門家を通じて最新情報を継続的に収集することです。監理団体については、育成就労制度下での「監理支援機関」への移行手続きが2026〜2027年に開始予定で、早めの準備が求められます。加えて、外国人材への日本語学習支援を支援計画の中に積極的に組み込んでおくことが、今後の審査対応としても有効です。

その他の当サイトのご参考記事

特定技能・育成就労制度に関するそのほかの関連記事を以下の通りご案内いたしますので是非ご参考になさっていただければ幸いです。

技能実習から特定技能、就労育成まで:外国人材制度の変遷と企業の選択指針

技能実習から特定技能1号への確実な移行戦略

特定技能2号で実現する長期人材戦略

特定技能受け入れ企業の実務管理マニュアル

建設業での特定技能外国人活用法―受け入れ基準と実践的管理のポイント

農業分野での外国人材活用完全ガイド―特定技能・技能実習の違いと選択指針

技能実習から特定技能への移行〜待遇設計が成功の鍵

2027年4月始動の育成就労制度~特定技能との違いと新3分野~

まとめ

特定技能・育成就労制度をめぐる状況を整理すると、制度の大枠は固まった一方で運用の詳細はまだ動き続けているというのが2026年2月時点の正直な姿です。「受入れを増やすだけでなく、質を担保しながら適正に管理する」という方向に政策の軸が移っており、日本語能力の向上支援がその重要な柱の一つとして位置づけられています。受入れ企業にとっても働く外国人の方にとっても、制度の変化を正確に把握し続けることが、これまで以上に重要になっています。


今回のコラムはいかがでしたか?「自社の対応はこれで大丈夫か」「育成就労制度への移行準備について知りたい」といったご感想・ご質問がございましたら、ぜひお問合せフォームからお気軽にお聞かせください。

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