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2026/3/18

日本人と外国人の結婚手続き〜どちらの国で先に届けるかが鍵〜

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

国際結婚をお考えの方や、すでに外国人パートナーとの結婚を進めている方から、「どこで、何から手続きをすればいいのかわからない」というお声をよく耳にします。日本人同士の結婚と違い、国際結婚には「どちらの国で先に婚姻届を出すか」という根本的な選択から始まり、相手の国の法律も絡んでくるため、手続きが複雑に感じられるのは当然のことです。

このコラムでは、国際結婚の成立に必要な手続きの全体像を、制度の仕組みとともに丁寧に解説します。

国際結婚が成立する仕組み

日本の法律では、婚姻の成立要件は当事者それぞれの本国法によって判断されます(法の適用に関する通則法第24条)。つまり、日本人は日本の民法に定める要件を、外国人はその人の本国法に定める要件を、それぞれが満たす必要があります。

たとえば日本の民法では、婚姻できる年齢は男女ともに18歳以上(2022年民法改正後)とされていますが、相手国によって婚姻可能年齢や必要書類が異なります。また、国によっては宗教上の理由から婚姻に必要な手続きが特殊なケースもあります。どちらの国で先に手続きをするかによって、準備するものも変わってきます。

「創設的届出」と「報告的届出」の違い

国際結婚の手続きを理解するうえで欠かせない用語が、創設的届出報告的届出です。

創設的届出とは、届出をすることによって婚姻が成立する届出のことです。日本の市区町村窓口に婚姻届を提出し、受理された時点で婚姻が成立します。日本で先に手続きをする場合は、これに当たります。

報告的届出とは、すでに外国で成立した婚姻の事実を、日本の戸籍に記録するための届出です。相手国で先に婚姻が成立した後、日本の市区町村や在外公館に婚姻の事実を報告するものです。

どちらが先でも婚姻自体は成立しますが、手続きの内容や準備すべき書類が大きく異なります。また、婚姻が一方の国でのみ成立していて、もう一方の国への報告届出が完了していない状態が続くと、戸籍や在留資格の手続きが滞る原因になりますので、できるだけ早めに両国での手続きを完了させることが大切です。

日本で先に届け出る場合の流れ

日本の市区町村窓口に婚姻届を提出するには、外国人パートナー側から婚姻要件具備証明書を取り寄せる必要があります。

婚姻要件具備証明書とは

婚姻要件具備証明書とは、「自国の法律上、婚姻するための要件をすべて満たしている」ことを証明する公的書類です。英語では「Certificate of Legal Capacity to Marry」と表記されることが多く、相手国の大使館や領事館、あるいは本国の役所が発行します。

発行機関や手続きは国によって大きく異なります。日本国内の大使館・領事館で取得できる国もあれば、本国に帰国して手続きが必要な国もあります。また、国によってはこの証明書制度自体がなく、代替書類で対応することになります。

主な国の傾向としては、韓国・中国・台湾については日本国内の各国大使館または台北駐日経済文化弁事処で発行手続きが可能なケースが多く、比較的スムーズに取得できます。一方、欧米諸国の中には証明書の発行に数週間かかるケースや、書類の形式が独特な国もあります。ドイツやオーストラリアなど国によって手続きの特徴が大きく異なりますので、相手国の在日大使館や領事館に早めに問い合わせて確認しておくことをお勧めします。

いずれの国においても、取得にかかる期間には余裕をもって準備を開始することが重要です。

日本での婚姻届提出に必要な書類

日本で先に届け出る場合、一般的に以下の書類が必要です。

  • 婚姻届(日本の市区町村窓口で取得)

  • 成人2名の証人の署名(婚姻届の所定欄に記入)

  • 外国人パートナーの婚姻要件具備証明書(日本語訳添付)

  • 外国人パートナーのパスポート

  • 外国人パートナーの在留カード(日本在住の場合)

  • 日本人の戸籍謄本(本籍地以外で届け出る場合)

婚姻届には、日本人同士の結婚と同様に、成人2名の証人による署名が必要です。家族や友人など身近な方にお願いすることが一般的ですが、証人が見つからない場合は行政書士などの専門家に依頼することも可能です。初めて手続きをされる方が見落としやすいポイントですので、事前に確認しておきましょう。

婚姻要件具備証明書には日本語訳の添付が必要です。翻訳者の氏名と住所を記載した訳文を自分で作成することも可能ですが、市区町村によっては翻訳会社など第三者による翻訳を求められるケースもあります。また、後の配偶者ビザ申請の場面でも翻訳の形式が問われることがありますので、どのような翻訳が必要かについては、事前に窓口で確認されることをお勧めします。

婚姻届が受理されると、外国人パートナーの名前が日本人の戸籍に記載されます。外国人は日本の戸籍に入ることはなく、「夫(または妻)の氏名・国籍・生年月日」が欄外に記録される形になります。

外国で先に婚姻手続きをする場合の流れ

相手国で先に婚姻を成立させる場合は、日本側で婚姻要件具備証明書を取得することが必要になります。

日本人の婚姻要件具備証明書は、法務局・地方法務局のほか、多くの市区町村窓口でも発行を受け付けています。ただし、相手国によっては「法務局発行のもの」を指定してくる場合があり、その際は外務省による公印確認やアポスティーユの取得が必要になることもあります。どの機関が発行した証明書が有効かは相手国の要件によって異なりますので、事前に相手国の大使館や領事館に確認しておくことをお勧めします。

海外で婚姻が成立した後は、日本の市区町村窓口または在外公館に報告的届出を行います。届出期限は、婚姻成立の日から3か月以内です。国内にいる場合は婚姻成立の日から3か月以内に市区町村への届出、海外在住の場合は在外公館への届出を行います。期限を過ぎた場合でも届出は受理されますが、戸籍への記載が遅れることで配偶者ビザの申請にも影響が出ることがありますので、期限内の手続きを心がけてください。

報告的届出に必要な書類として、一般的に以下のものが求められます。

  • 婚姻届(報告的届出用)

  • 外国で発行された婚姻証明書(原本)

  • 婚姻証明書の日本語訳

  • 日本人のパスポートまたは戸籍謄本

婚姻証明書は、その国の権限ある機関が発行した公的書類である必要があります。国によってはアポスティーユの取得が必要な場合があります。

アポスティーユとは、ハーグ条約(外国公文書の認証を不要とする条約)に基づく認証の簡略化手続きのことで、条約加盟国であれば自国の指定当局が押印した証明によって、相手国での公文書としての効力が認められます。日本はこの条約に加盟していますので、外国の公文書にアポスティーユが付されていれば、領事認証を別途取得する必要がなくなります。相手国がアポスティーユ条約の加盟国かどうかは、外務省のウェブサイトで確認できます。

どちらで先に届けるかの選び方

どちらの国で先に手続きするかは、カップルの状況によって異なります。

日本で先に届け出ることが向いているケースは、外国人パートナーがすでに日本に在住している場合です。婚姻届が受理されれば、配偶者ビザ(日本人の配偶者等)への在留資格変更申請もスムーズに進められます。

相手国で先に手続きすることが向いているケースは、相手国の法律上の手続きが先行することが慣例となっている場合や、相手国の家族への配慮から現地での結婚式・手続きを優先したい場合です。

婚姻後に配偶者ビザの申請を行う場合は、改めて出入国在留管理局への在留資格変更許可申請が必要になります。婚姻届が受理されただけでは在留資格は変わりません。この点はとくに注意が必要です。

なお、外国人パートナーがすでに「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格を持っており、その在留期限にまだ余裕がある場合は、必ずしも直ちに「日本人の配偶者等」へ変更しなければならないわけではありません。現在の在留資格のまま在留を継続し、更新のタイミングで配偶者ビザへの切り替えを検討するという方法もあります。どちらが適切かはご本人の就労状況やライフプランによって異なりますので、状況に応じて専門家に相談されることをお勧めします。

在留期限が迫っている場合には特に早めの対応が求められますので、現在の在留状況を早めに確認しておくことが大切です。

よくある落とし穴

国際結婚の手続きで注意が必要な点をいくつかお伝えします。

書類の有効期限:婚姻要件具備証明書には有効期限が設けられている場合があります。発行から3か月以内など、取得後は速やかに手続きを進めることが大切です。

翻訳の要件:外国語の書類には日本語訳が必要ですが、市区町村によって求める翻訳の形式が異なることがあります。事前に窓口で確認することをお勧めします。

国によって書類が大きく異なる:同じ「婚姻要件具備証明書」でも、国によって書式や発行機関、手続き方法が全く異なります。相手の国籍に合わせた情報収集が不可欠です。

戸籍の記載内容の確認:婚姻届受理後に戸籍謄本を取得して、外国人配偶者の情報が正確に記載されているか確認することをお勧めします。外国人の名前のカタカナ表記や生年月日などに誤りが生じることがあります。

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まとめ

国際結婚の手続きは、「日本で先か・外国で先か」によって準備するものが変わり、相手の国籍によっても大きく異なります。共通して言えるのは、婚姻要件具備証明書の取得に時間がかかる場合があるため、早めの情報収集と準備が成功の鍵だということです。

書類の種類・発行機関・翻訳の要件・相手国への提出条件など、確認すべき事項は多岐にわたります。初めて手続きをされる方にとっては、どこで何を確認すればよいかわからず、不安を感じられることも多いのではないでしょうか。婚姻届の提出を検討している段階から行政書士などの専門家に相談しておくことで、必要な書類や手続きの全体像を事前に把握でき、抜け漏れのないスムーズな手続きにつながります。専門家のサポートを上手に活用することも、国際結婚の手続きを確実に進めるための選択肢のひとつです。


今回のコラムはいかがでしたか?「自分のケースではどうなるの?」といったご質問や、国際結婚の手続きで不安に感じていることがありましたら、ぜひお気軽にお問合せフォームからお聞かせください。皆さんからのご意見が、今後のコラムのテーマ選びにもつながっています。

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