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事務所ウェブサイト全面刷新の裏側 〜デジタル営業ツールへの脱皮〜
皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。
今回は少し趣向を変えて、先日行ったウェブサイトのリニューアルについて書いてみようと思います。「行政書士がウェブサイトの話をするの?」と思われるかもしれませんが、これ、一人で開業した行政書士の営業活動と直結した話なんです。

一人開業の営業の難しさ
個人事業主として開業しているので、複数のスタッフがいるわけでもなく、外まわりで見込み客を開拓できる充分な営業力があるわけでもない。「どうやって自分の存在を知ってもらうか」は、開業当初からの最大の悩みでした。
様々な交流会への参加、知人への挨拶まわり、士業ネットワークへの参加……いろいろ試みましたが、やはり24時間365日、自分が寝ていても動き続けてくれるウェブサイトの存在感が一番大きいと感じるようになりました。それならば、ウェブサイトを本当の意味での「デジタル営業ツール」として機能させなければならない。そう強く思い始めたのが、リニューアルの出発点でした。
テンプレートサイト1年間で見えてきた「壁」
開業時は、既製のデザインテンプレートを使ってサイトを立ち上げました。構築自体は難しくなく、短期間でウェブサイトを持てた点は良かったんです。ただ、使い続けるうちに「壁」が見えてきました。
テンプレートの構造が決まっているため、自分が本当に伝えたい内容や見せたいレイアウトに変えることが難しかったんです。ブログ記事を訪問者の目に入りやすい位置に配置したい、メインビジュアルをもっと専門性の高い訴求力のあるものにしたい、という要望がテンプレートの制約でどうしても実現できませんでした。言ってみれば「名刺代わりのウェブサイト」ではあっても、「デジタル営業ツール」としては物足りない状態が続いていました。
変えるしかない、でも「やりたくなかった」
テンプレートを超えた改変をするには、サイト構築ツールを自分でしっかり習得するしかありませんでした。正直に言うと、最初は「できれば避けたかった」という気持ちがありました。行政書士として法令や手続きの勉強に時間を使いたいのに、サイト構築の習得に時間を割くのか、と。
外注に依頼する選択肢も考えましたが、最低でも30万円、場合によってはそれ以上の費用がかかるかもしれない。開業間もない時期には厳しい出費である上に、外部に頼んだとして自分が本当に納得できるものが仕上がるかという不安もありました。
そんな中で知ったのが「ノーコード」によるウェブサイト開発です。プログラミングの専門知識がなくても、画面上でパーツを組み合わせるだけでウェブサイトが作れる仕組みで、近年急速に普及しています。「これなら自分にもできるかもしれない」という気持ちになりました。一方で、「途中で行き詰まって費やした時間が無駄になったら……」という不安も正直ありました。その葛藤を乗り越えて、ようやく「やってみよう」と踏み出したんです。
新たなテンプレートも探しましたが「これだ」と思えるものは見つからず、結局は参考書を手元に置きながらゼロから構築するしかないという結論に至りました。
一番悩んだのは、技術ではなく「絞り込む」決断だった
構築作業よりも、私が一番時間をかけて悩んだのは「サイトで扱うテーマを絞り込む」という決断でした。
これまで、在留資格・帰化申請、遺言書・相続、補助金申請という3分野を発信の柱としてきました。しかし既存サイトのアクセスデータを分析したところ、訪問者の96%以上が板橋区外からのアクセスであることがわかりました。地域密着も大切ですが、ウェブサイトにおいては専門性を前面に打ち出して広域に訴求し、より広く選ばれる存在になる必要があると実感した瞬間でした。
そこで下した決断が、「ウェブサイト上での発信は、在留資格・帰化申請に特化する」というものでした。相続や補助金の業務を今後行わないわけではありませんが、オンラインでの打ち出しは専門性が明確に伝わる国際業務に絞る。1年間の運営データがあったからこそ踏み出せた決断でした。
この判断に合わせて、142本あったブログ記事のうち国際業務関連の107本を公開継続とし、相続関連の26本は削除ではなく非公開として保全することにしました。将来の可能性を残しながら、今は在留資格・帰化申請の専門事務所としての顔を前面に出す、そういう整理です。
新サイトで特に意識したこと
ゼロから構築した新サイトでは、以下の点を特に意識しました。
メインビジュアルを、在留資格・帰化申請の専門事務所として専門性が伝わるデザインに刷新
ブログ記事をメインビジュアルのすぐ下に配置し、検索機能も設けて読みたい記事を見つけやすくすることで、サイト内の回遊性・滞在性を高める工夫を
ナビゲーションメニューを英語表記(SERVICE / ABOUT / FEE / BLOG)に統一し、外国人のお客様にも親しみやすい構成に
FAQ専用ページを独立させ、よくある疑問への回答を充実
旧サイトの各ブログ記事に割り振られていたURLを、新サイトへの移植時にすべて手作業で照合・移し替え、SEO上の断絶が生じないよう対応
実際の制作作業に入る前に、まず参考図書に掲載されている作成ステップの例題をすべて実際に手を動かしながらやり通しました。サイトを組み上げる際の配置の仕組みやロジックを体で覚え、これから行う自分のサイト構築でも応用できる土台を作ってから、本番の構築に進んだんです。
また、サイト企画デザインやフレーム設計、サーバー架け替え時の留意点といった、いわばウェブ開発の「段取り」の部分については、ClaudeやGeminiといったAIの支援を活用しました。未知の分野での判断を補ってもらえるだけでなく、作業時間の大幅な短縮にもつながりました。AIが行政書士の実務以外の分野でも心強い作業パートナーになってくれることを、今回改めて実感しました。
開発にかかった期間はおよそ20日。最初の入門から実際の構築・公開まで、この期間中は業務時間の約70%をこの作業に充てる覚悟が必要でした。決して軽い作業ではありませんでしたが、自分の納得のいくものを自分の手で作り上げられたことは、大きな達成感につながりました。
公開切り替えは大安の日の土曜日、アクセスの少ない時間帯に実施。ダウンタイムはわずか5分程度で完了し、切り替え直後に見つかった小さな不具合もその場ですぐに修正しました。その後、Google Search ConsoleにサイトマップのURLを再送信し、インデックス登録の状況も確認して作業を完了しました。
まとめ――サイトは「育てるもの」だと感じた1年
1年間のテンプレートサイト運営があったからこそ、「自分が本当に伝えたいこと」が明確になり、今回のリニューアルにつながりました。技術よりも「何を伝えるか」「誰に向けて発信するか」を決める作業の方が、はるかに時間とエネルギーを必要としました。在留資格・帰化申請の専門事務所として、ウェブサイトを通じてより多くの方に専門性を知っていただける一歩になればと思っています。
今回使用したプラットフォーム
今回使用したのは「Studio」という日本製のノーコード・ウェブサイト構築プラットフォームです。デザインの自由度が高く、日本語サポートが充実しているのが特徴です。WordPressと比べると、サーバー契約やセキュリティ管理が不要で運用しやすい点が長所です。大規模なシステム連携や高度なカスタマイズはWordPressの方が得意な場合もありますが、士業のような専門事務所のウェブサイトとしては十分な機能を備えています。
今回のようにゼロから自分好みのサイトを組み上げることもできますし、とにかく手早くウェブサイトを立ち上げたいという場合には、有償・無償さまざまなテンプレートも用意されています。自分のニーズや習熟度に合わせて使い方を選べる点も、Studioの魅力の一つです。
また、当事務所では独自ドメインを使用していますが、今回のサイト架け替えにおいてもドメインの切り替え作業はとてもスムーズに行うことができました。
参考図書
「知識ゼロからノーコードで始める Studio Webサイト制作入門」(株式会社gaz著・インプレス刊:定価2,420円)を参照しながら制作しました。ただし、本書内のStudioの画面表示は現在のバージョンと一部異なっています。機能そのものに変わりはありませんが、画面上のどこにその機能があるかを探す手間が若干必要な点はご注意ください。
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IT用語ミニ解説(本文中の出現順)
メインビジュアル:トップページで最初に目に飛び込む大きな画像・ビジュアルのこと。サイトの第一印象を左右します。
ノーコード:プログラミングのコードを書かずに、画面操作だけでウェブサイトやアプリを作れる開発手法。
テンプレート:あらかじめデザインや構成が決まっているひな形。手軽な反面、大きなカスタマイズには制約があります。
SEO:検索エンジン最適化のこと。Googleなどの検索結果の上位に表示されやすくなるよう工夫する取り組みを指します。
ナビゲーションメニュー:各ページへの案内役となるメニューのこと。主にページ上部に表示されます。
サイト企画デザイン:ウェブサイト全体のコンセプト、ターゲット、掲載内容などを決める企画・設計のこと。制作の方向性を定める最初の重要なステップです。
フレーム設計:各ページにどの要素をどのように配置するかを図示した設計図(ワイヤーフレーム)を作成する作業のこと。実際の見た目を決める前の「骨格づくり」にあたります。
独自ドメイン:「〇〇〇.com」「〇〇〇.jp」など、自分専用に取得したウェブサイトのアドレスのこと。信頼性の向上やSEOにも好影響があります。
ダウンタイム:ウェブサイトが一時的に閲覧できない状態になる時間のこと。
Google Search Console:Googleが無償提供するウェブサイト管理ツール。検索結果への表示状況を確認できます。
サイトマップ:サイト内のページ一覧をまとめたファイル。検索エンジンに正確にページを認識してもらうために送信します。
インデックス登録:Googleなどの検索エンジンがページ内容を読み取り、検索結果に表示できる状態にすること。
今回の記事、いかがでしたか?ウェブサイトリニューアルの裏側や、専門特化への決断プロセスについて、「参考になった」「もっと聞きたい」など、皆さんのご意見・ご感想をぜひお問合せフォームよりお気軽にお寄せください。
同じ士業の先生方で、ウェブサイトの制作や改善にご興味をお持ちの方も、ぜひ遠慮なくお問合せください。専門分野は違っても、同じ悩みを抱える仲間として、知っていることはお互いに共有し合えれば嬉しいです。教え合うことは大歓迎です。
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