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2026/3/30

アイルランド人と結婚するときの手続き〜婚姻制度と日本での届出〜

Getting Married in Japan: A Guide for Irish-Japanese Couples

皆さん、こんにちは。未来扶桑行政書士事務所 行政書士の樋口裕昭です。

アイルランドは音楽や文学、歴史的な風土への関心から日本人に親しまれている国のひとつであり、留学や就労を通じた日愛カップルも一定数います。アイルランドはEU加盟国でありながら、英国と同様にコモンロー(Common Law)の法体系を持つという独自の特徴があります。また、婚姻手続きにおいては他の国には見られない事前通知制度が法律で義務付けられており、この点が手続きの計画に大きく影響します。

このコラムでは、アイルランド人との婚姻手続きの全体像を、制度の仕組みとともに解説します。

アイルランドの婚姻制度の基本

アイルランドでは、婚姻はCivil Registration Act 2004(民事登録法2004年)に基づいて規律されています。婚姻可能年齢は18歳以上で、宗教的な結婚式・世俗的な結婚式・民事婚のいずれの形式でも、法的効力を持つ婚姻として認められます。

アイルランドでは2015年のMarriage Act 2015(婚姻法2015年)の施行により同性婚が認められており、婚姻の形態においては比較的柔軟な制度となっています。

婚姻を担当する公的機関はHSE Civil Registration Service(保健サービス局民事登録局)で、日本の市区町村の戸籍担当窓口に相当します。婚姻の登録・証明書の発行はGeneral Register Office(一般登録局)が管轄しています。

アイルランド独自の3か月前通知制度

アイルランドの婚姻手続きで最も重要な特徴が、婚姻予定通知(Notification of Intention to Marry)の義務です。アイルランドで結婚を予定しているすべての人は、民事婚・宗教婚・世俗婚を問わず、挙式予定日の少なくとも3か月前までにCivil Registration ServiceのRegistrar(登録官)に通知することが法律で義務付けられています。

通知の際には両名が直接出席する必要があり、登録官との面談でお互いに婚姻に法的障害がない旨の宣言書に署名します。すべての条件が整っていれば、登録官からMarriage Registration Form(MRF=婚姻登録用紙)が交付されます。これが婚姻許可証の役割を果たすものです。

MRFは交付後6か月以内に使用する必要があり、6か月を超える場合は改めて手続きが必要になります。 通知手数料は200ユーロで、返金不可となっています。

結婚式の日程を決める際は、この3か月の待機期間を必ず考慮に入れる必要があります。人気のある時期は予約が埋まりやすいため、できるだけ早めに通知の予約を取ることが重要です。

アイルランドで先に婚姻手続きをする場合

アイルランドで先に婚姻を成立させる場合、日本人側は婚姻要件具備証明書を準備する必要があります。

日本人の婚姻要件具備証明書の取得と認証

日本人の婚姻要件具備証明書は、法務局・地方法務局または多くの市区町村窓口で取得できます。アイルランドでの使用に際しては、外務省によるアポスティーユ(Apostille)の取得が必要です。アイルランドはハーグ条約(Hague Convention)の加盟国であるため、アポスティーユを取得することで領事認証(Consular Legalisation)を別途取得する必要がなくなります。

なお、EU加盟国で発行された出生証明書については、2019年2月16日以降アポスティーユや認証が不要となりましたが、EU域外で発行された書類については引き続きアポスティーユや認証が必要な場合があります。日本はEU加盟国ではないため、日本発行の書類にはアポスティーユの取得が必要です。

アイルランドでの婚姻登録と報告的届出

アイルランドで婚姻が成立した後は、日本の市区町村または在外公館に報告的届出を行います。届出期限は婚姻成立の日から3か月以内です。報告的届出に必要な書類として、一般的に以下のものが求められます。

  • 婚姻届(報告的届出用)

  • アイルランドで発行された婚姻証明書(Marriage Certificate)の原本

  • 婚姻証明書の日本語訳

  • 日本人のパスポートまたは戸籍謄本

アイルランドで成立した婚姻はアイルランドには登録されますが、海外で成立した婚姻はアイルランドのGeneral Register Officeには登録されません。アイルランド市民の海外での婚姻は、婚姻が行われた国に登録されることが原則です。この点は日本での報告的届出の重要性を示しています。

日本で先に婚姻届を出す場合

日本で先に婚姻届を提出する場合、アイルランド人パートナーは婚姻要件具備証明書に相当する書類を取得する必要があります。アイルランドの場合、在日アイルランド大使館(Embassy of Ireland Tokyo)が発行するFreedom to Marry Certificate(婚姻自由証明書)または宣誓供述書(Statutory Declaration / Affidavit)が婚姻要件具備証明書の代替書類として使用される場合があります。

必要な書類の形式や取り扱いは提出先の市区町村によって異なる場合があります。事前に婚姻届を提出予定の市区町村窓口と、在日アイルランド大使館(Embassy of Ireland Tokyo)の双方に確認しておくことを強くお勧めします。

日本での婚姻届提出に必要な書類

日本で先に届け出る場合、一般的に以下の書類が必要です。

  • 婚姻届(市区町村窓口で取得)

  • 成人2名の証人の署名

  • アイルランド人パートナーの婚姻要件具備証明書に相当する書類・Freedom to Marry Certificate(日本語訳添付)

  • アイルランド人パートナーのパスポート(Irish Passport)

  • アイルランド人パートナーの在留カード(日本在住の場合)

  • 日本人の戸籍謄本(本籍地以外で届け出る場合)

書類の日本語訳については、翻訳者の氏名・住所を記載した訳文を自分で作成することも可能ですが、窓口によっては第三者による翻訳を求める場合があります。事前の確認が不可欠です。

姓の選択について

アイルランドでは婚姻後の姓の変更(Change of Name)は法律上の義務ではなく、変更するかどうかは本人の自由です。アイルランド人パートナーが婚姻後も従来の姓(Surname)を維持することは一般的に認められています。姓を変更する場合は、婚姻証明書(Marriage Certificate)を根拠書類として各種公的書類の名義変更手続きを進める形になります。

日本人側がアイルランド人配偶者の姓を名乗りたい場合は、婚姻届受理後6か月以内に市区町村に届け出ることで、日本の戸籍でも変更が可能です。この期限を過ぎると家庭裁判所での手続きが必要になるため、希望する方は早めに対応することが大切です。

アイルランド人配偶者の在留資格について

アイルランド人パートナーがすでに日本に在住している場合、婚姻届受理後に在留資格を「日本人の配偶者等(Spouse of Japanese National)」に変更するかどうかを検討する必要があります。婚姻の事実があるだけでは在留資格は自動的に変わりませんので、変更を希望する場合は出入国在留管理局(Immigration Services Agency of Japan)への在留資格変更許可申請が必要です。

アイルランド人パートナーがまだアイルランドにいる場合は、在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)の交付申請を日本側で行い、認定証明書をアイルランドに送付して在日本アイルランド大使館(Embassy of Ireland Tokyo)でビザの発給を受ける流れになります。審査には通常1〜3か月程度かかりますので、来日予定から逆算して早めに申請することをお勧めします。

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まとめ

アイルランド人との婚姻手続きで最も注意が必要な点は、アイルランドで婚姻を挙行する場合に3か月前の通知(Notification of Intention to Marry)が法律上義務付けられているという点です。この待機期間はオーストラリアのNOIMと同様の仕組みですが、通知手数料200ユーロが必要な点や、両名が直接出席して宣言書に署名する必要がある点など、独自の要件があります。結婚式の日程を決める前に、この3か月の期間を含めたスケジュールを組む必要があります。

書類の種類・取得先・アポスティーユの手続きなど、確認すべき事項は多岐にわたります。婚姻届の提出前の段階から行政書士などの専門家に相談しておくことで、手続き全体の流れを把握し、準備の抜け漏れを防ぐことができます。


今回のコラムはいかがでしたか?「アイルランドでの結婚手続きは何から始めればいい?」「日本での婚姻届にはどの書類が必要?」といったご質問や、日愛間の婚姻手続きでお困りのことがあれば、ぜひお気軽にお問合せフォームからお聞かせください。皆さんからのご意見が、今後のコラムのテーマ選びにも役立っています。


For readers in Ireland: This article explains marriage registration procedures between Irish and Japanese nationals. Whether you are planning to marry in Japan or need to register your marriage with Japanese authorities, our office can assist with visa applications and related procedures. Please feel free to contact us via the inquiry form on our website.

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